海外旅行

No.132:シチリア旅行


モザイクが美しいパラティーナ礼拝堂(床、祭壇、天井)<写真へのクリックで拡大できます>

 今回の旅のハイライトはパレルモの王宮内パラティーナ礼拝堂でした。多くの教会や礼拝堂を見てきましたが、これほど美しい礼拝堂は初めてです。シチリアが地中海で最も財力ある国に発展したノルマン王朝時代(12世紀)に造られました。黄金色、青、赤、緑のモザイクが壁一面を覆い、900年近くも経つのに、色褪せることなく鮮やかに美しく輝いています。

 イスラム勢力を排除しノルマン王朝を確立したノルマン勢力は、バイキングを祖先とし、海賊となったり傭兵として異国の君主に仕えたりして、異文化に触れていたためか、これを積極的に採り入れ、活用して繁栄をもたらしました。礼拝堂も、壁や床の金地モザイクや大理石モザイクはビザンチン職人、中央身廊天井の木製鍾乳洞造り装飾はイスラム教徒の職人によって創られています。しかし、ノルマン王朝のリーダーシップが失われるとともに異文化間の争いが増え国は衰退していきます。国の繁栄には強力なリーダーシップが必要なのでしょう。

 トラベルにトラブルは付き物ですが、今回はユーロ不足という事態でした。家族経営の小さなB&Bホテルで、クレジット決済ができません。でも現金で支払うと、楽しみにしていた古代ローマ時代のモザイク画見物ができないのです。土曜日で両替ができずにほとほと困っている我々を見かねて、ホテルのご主人が「日本円でもいいよ」と言ってくれました。家族が集まってきて、日本円を初めて見た、と珍しがっていましたが、本当に助かりました。

 この親切なご主人がバス停まで車で送ってくれたのですが、切符売場でバス会社職員と何やら交渉らしき話を始めました。最後に、「セーフ!」と安堵した様子、後で考えると、バスを出す出さない、といった話のような気がしています。バスの乗客は3人、1人は途中の町で早々と降りたので、我々2人の貸切状態だったのです。悪名高いバス会社のようで、突然の運休に泣かされた話がブログにあります。この次のバスは夕方発、モザイク画見物はできません。ホテルのご主人が交渉してくれた、と推測しているのですが、そのおかげです。

 翌日もトラブルが。大晦日でレストランがどこも満席、翌元旦は休みの店がほとんどで、2日間、ホテルの部屋でのカップラーメンとなりました。2日分の水と果物などを買いに出かけてホテルに戻るとき、「『年末年始はシチリア』と言えば聞こえはいいけど・・・・」と妻がつぶやいています。でも、熱々のカップラーメンも悪くはなく、真剣にレストラン探しをしたことも良い思い出となりました。トラブルが楽しめなくては、トラベルは楽しめない、という事だと思います。

の記事

No.156:ガウディの世界 (2020年01月31日)

大輪の花のような大きな丸窓、そこにはめ込まれた花びらの形をした色とりどりのステンドグラスを通して、明るく柔らかい光が差し込んでいます。バルセロナ近郊の小さな町にあるコロニア・グエル教会です。ガウディ建築の原点で、最高傑作とも言われています。床から伸びるやや傾いた柱は樹木を連想させ、天井を這うたくさんの梁はその枝を連想させます。まるで林の中にいるようです。

No.151:北欧夏の旅 (2019年08月31日)

 両岸に迫る切り立った岩山の間を縫うように、静かに進むクルーズ船、鏡のような海面に映し出される岩山と青空、朝の清々しい空気とあいまって、神々しいばかりの自然の美しさに心打たれました。この風景だけで、今回の北欧夏の旅に出た価値がありました。ノルウェーのソグネフィヨルド、その最も狭いところを巡るクルーズ、グドヴァンゲンという港を朝8時半に出て、フロムという港までの2時間、心洗われる思いでした。

No.144:多難なギリシャ旅行でした (2019年01月31日)

 異例の寒波に見舞われたギリシャ、大雪で交通機関が混乱するなかでの観光旅行でした。長距離のバスや電車は通常でも本数が少なくて不便なギリシャ、それが混乱したのですから、ギリシャ語の分からない個人旅行者にとっては不安の多い、多難な移動となりました。

No.141:親日国ポーランド (2018年10月31日)

 初めてのポーランドでは多くの親切に出会いました。ヤヴォルの平和教会では教会のパイプオルガン演奏を収録したCDをいきなりプレゼントされ、戸惑ったり、喜んだり、ワルシャワの中央駅では広大な構内をバス停まで案内してもらい大助かりでした。いずれもたまたまそこにいた人たちで、CDは教会の受付でわざわざ購入したものらしく、バス停に案内してくれた人は売店で後ろに並んだ人でした。券売機の操作でまごついていると声を掛けてくれたり、乗車ホームの確認ができずに困っていると快く助けてくれました。

No.128:ポルトガル旅行 (2017年09月30日)

 季節の良いときに旅行に行きたい、と勤務先のボスに頼み込み、秋のポルトガル旅行が実現しました。直行便のないポルトガルは15時間ほど、飛行機の狭い座席で長時間過ごすこと、キツイ時差ぼけになることで、歳をとったら厳しく、ヨーロッパにあと何回行けるかわからない、と訴えたのです。

No.120:2度目のミラノ、ヴェネチア (2017年01月31日)

 2度目のミラノ・ヴェネチアは充実した旅でした。14年前に初めて訪れたときは、ツアーだったので、効率は良いものの、次から次へと味わう間もなく見物していった感がありましたが、今回は全て自由行動、思うところをゆっくり旅することができました。まさに「2度目の旅は断然楽しい!」です。

No.114:驚きが多かったホーチミン (2016年07月31日)

 4泊5日で滞在したベトナム・ホーチミン、驚くことが多い街でした。バイクの多さとマナーの悪さにはびっくりです。歩道を走る、歩行者専用の横断歩道を青信号で渡っている前後すれすれを横切る、左折と対向右折が無秩序に入り乱れる、あちこちでクラクションが鳴り響く、といった具合、車のマナーも似たようなものです。それに、どこへ行ってもたくさんのバイクが走っており、排気ガスが気になります。

No.108:ベネルクス3国の旅 (2016年01月31日)

 「本当に行くの?」「無事の帰国を祈る!」といった言葉に見送られて出かけたブリュッセル、新年の3日まで開いているクリスマスマーケットをはじめとして街中が大変な賑わい、テロに対する人々の懸念は全く感じられません。

No.100:何事も大きく頑丈そうなロシアでした (2015年05月31日)

 ゴールデンウィークでの海外旅行は2回目、1回目は37年前の初めてのヨーロッパでした。それから何回も出かけているヨーロッパですが、今回はフィンランドのヘルシンキ、エストニアのタリン、ロシアのサンクトペテルブルク、と初めての国ばかりです。映画「かもめ食堂」の舞台となったヘルシンキを観光し、ムーミンのマグカップを購入、街中が中世のテーマパークのようなタリンを楽しみました。サンクトペテルブルク、旧レニングラードはヘルシンキから高速鉄道で行けることが分かり、急きょ計画に組込み、世界三大美術館であるエルミタージュ美術館や美しいエカテリーナ宮殿を見物しました。

No.096:南仏の旅 (2015年01月31日)

 1月1日元日の午前0時30分羽田発でパリ経由南仏ニースへ。搭乗するとすぐに「いつもエールフランスをご利用いただきありがとうございます」とプレミアム・エコノミーにグレードアップしてくれました。妻と2人で10万円以上相当のプレゼント、幸先の良い年明けです。


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