海外旅行

No.128:ポルトガル旅行

 季節の良いときに旅行に行きたい、と勤務先のボスに頼み込み、秋のポルトガル旅行が実現しました。直行便のないポルトガルは15時間ほど、飛行機の狭い座席で長時間過ごすこと、キツイ時差ぼけになることで、歳をとったら厳しく、ヨーロッパにあと何回行けるかわからない、と訴えたのです。

 おかげで、ベスト・シーズンでの旅行となりました。今までは、ボスが旅行に出かけない限り、良い季節での旅行はできなかったのですが、これからは毎年行けるようになり、来年の秋はどこに行こうか、と妻と話したりもしています。

 春のお伊勢さん歩き旅と秋のヨーロッパ旅行、春休みと秋休みを2週間近くとるという、会社員(一応)らしからぬ休暇取得です。私が首にならないのは勤務先事務所の七不思議、とボスのご友人が教えてくれました。そうできるだけのボスとの信頼関係が築けている、ということだと思うのですが・・・。

 こうして出掛けたポルトガル、リスボン、コインブラ、ポルトに計10泊、12日間の旅行でした。国土が日本の約4分の1なのでゆったり旅行、のつもりでしたが、意外と忙しく、疲れました。歩きにくい石畳でかつ坂道が多かったこともあるかもしれませんが、歳のせいもあるのでしょう。元気なうちに、ますます色々なところに出かけなくては、ということのようです。

 季節は最高でした。毎日快晴で、歩くと少しは暑いものの、爽やかな秋の風と気候、一瞬雨に降られましたが、それはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラでのこと、ポルトガルでは全て良い天気だったと、妻と喜びあっています。食事も、今までのヨーロッパ旅行で最良だったように思います。海に面した国なので、海の幸に恵まれています。

 海辺のリゾート地ナザレを散策中、魚を焼くいい匂いにつられて入ったレストランでの鰯の炭火焼き、結構大きな鰯が4匹ほど出てきたときは、食べられるだろうか、と一瞬思いましたが、とても美味しくて、二人で一気に平らげました。タコは、何でこんなに柔らかいのと思うくらい上手に煮込んであって、マリネでも、リゾットでも、太い足をパンに挟んだホットドックでも、全て美味しくいただきました。名物の干しダラ、バカリャウは、グリルよし、オーブン焼よし、コロッケよし、でした。

 馴染みの食材で食べやすい、ということだったのかもしれませんが、美味しいレストランだったこともあったかと思います。今回は、全ての夕食が夜7時以降になったので、開店時間の遅い人気レストランにも行くことができました。夜8時ごろに入ったときは空席が目立つレストランでも、9時半ごろに出るときは満席で盛り上がっています。今までは、朝早いことが多く、夕食を早く済ませていたのです。現地の人たちの生活リズムに合わせることが、美味しい外食をいただくコツだったのかもしれません。


巡礼終着地サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂に舞う巨大振り香炉<写真へのクリックで拡大できます>

 大航海時代に繁栄したポルトガルだけに、重厚さで圧倒される歴史的建造物、当時の光り輝く神々しさや荘厳さを想像させる装飾の数々を楽しむことができます。ポルトにあるサン・フランシスコ教会では、金泥の彫刻群が、天井、壁、柱を覆っていました。植民地から得た富を、このような建造物や装飾につぎ込んで、それが国の衰退の一因にもなったと言われるほどの歴史的遺産、一度は見ておく価値があります。

 老い先短いこの身、来年の秋はどこに行こうか、何を見ようか、いまから楽しみです。

 

以下にもう少し書き留めました。興味がありましたらお読みください。


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 今回スリに狙われました。観光客で混雑するリスボン28番トラムで財布を入れたポケットに手を突っ込まれたのです。突っ込まれた感触があったので、振り向くと中年男性、顔を覗き込むように見ていると、次の駅で降りて行きました。幸い、財布を袋に入れて紐でバンドに固定していたので、盗まれることはありませんでした。近くにいた若いカップルが見ていたようで、スリだった、と後で言ったので間違いないでしょう。

 3人組だったようで、若い男性が手すりを塞ぐように不自然に立ち、私が高い手すりに両手で捉まるよう仕向けての犯行でした。妊娠しているので席を譲ってと、妻を立たせた若い女性も一味だったようで、一緒に降りていきました。日本人夫婦を狙ったようですが、妻は席を立ってからもバッグをしっかり抱えていたので、何も盗まれることはありませんでした。海外旅行での危機管理が功を奏しました。

 でも、出会ったポルトガル人のほとんどは好感のもてる人たちでした。道や駅でまごまごしていると声を掛けてくれたし、乗車した電車が正しいのかを心配する我々に、みんなが親切に教えてくれました。レストランでのサービスというか、心地良さは、ヨーロッパの他の国とはかなり違う印象です。とても親しみがあり、「美味しかったか?」と訊いてきたりもします。量が多いのでメインは一皿だけ、と頼んでも快く受け入れてくれます。他の国、特にフランスでは、あからさまに嫌な顔をされたり、断られたりします。ポルトガルでの心地良さが、美味しい食事ができた要因の一つだったのかもしれません。

 レストラン従業員のキビキビした動きは見ていて気持ちよく、電車の運賃や施設の入場料が半額になるシニア割引は大いに助かり、長距離のバスや電車での無料WiFiは移動中にいろいろと調べることができて便利で、いずれもポルトガルの好印象につながっています。行って良かった、楽しい旅行でした。

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No.156:ガウディの世界 (2020年01月31日)

大輪の花のような大きな丸窓、そこにはめ込まれた花びらの形をした色とりどりのステンドグラスを通して、明るく柔らかい光が差し込んでいます。バルセロナ近郊の小さな町にあるコロニア・グエル教会です。ガウディ建築の原点で、最高傑作とも言われています。床から伸びるやや傾いた柱は樹木を連想させ、天井を這うたくさんの梁はその枝を連想させます。まるで林の中にいるようです。

No.151:北欧夏の旅 (2019年08月31日)

 両岸に迫る切り立った岩山の間を縫うように、静かに進むクルーズ船、鏡のような海面に映し出される岩山と青空、朝の清々しい空気とあいまって、神々しいばかりの自然の美しさに心打たれました。この風景だけで、今回の北欧夏の旅に出た価値がありました。ノルウェーのソグネフィヨルド、その最も狭いところを巡るクルーズ、グドヴァンゲンという港を朝8時半に出て、フロムという港までの2時間、心洗われる思いでした。

No.144:多難なギリシャ旅行でした (2019年01月31日)

 異例の寒波に見舞われたギリシャ、大雪で交通機関が混乱するなかでの観光旅行でした。長距離のバスや電車は通常でも本数が少なくて不便なギリシャ、それが混乱したのですから、ギリシャ語の分からない個人旅行者にとっては不安の多い、多難な移動となりました。

No.141:親日国ポーランド (2018年10月31日)

 初めてのポーランドでは多くの親切に出会いました。ヤヴォルの平和教会では教会のパイプオルガン演奏を収録したCDをいきなりプレゼントされ、戸惑ったり、喜んだり、ワルシャワの中央駅では広大な構内をバス停まで案内してもらい大助かりでした。いずれもたまたまそこにいた人たちで、CDは教会の受付でわざわざ購入したものらしく、バス停に案内してくれた人は売店で後ろに並んだ人でした。券売機の操作でまごついていると声を掛けてくれたり、乗車ホームの確認ができずに困っていると快く助けてくれました。

No.132:シチリア旅行 (2018年01月31日)

 今回の旅のハイライトはパルレモの王宮内パラティーナ礼拝堂でした。多くの教会や礼拝堂を見てきましたが、これほど美しい礼拝堂は初めてです。シチリアが地中海で最も財力ある国に発展したノイマン王朝時代(12世紀)に造られました。黄金色、青、赤、緑のモザイクが壁一面を覆い、900年近くも経つのに、色褪せることなく鮮やかに美しく輝いています。

No.120:2度目のミラノ、ヴェネチア (2017年01月31日)

 2度目のミラノ・ヴェネチアは充実した旅でした。14年前に初めて訪れたときは、ツアーだったので、効率は良いものの、次から次へと味わう間もなく見物していった感がありましたが、今回は全て自由行動、思うところをゆっくり旅することができました。まさに「2度目の旅は断然楽しい!」です。

No.114:驚きが多かったホーチミン (2016年07月31日)

 4泊5日で滞在したベトナム・ホーチミン、驚くことが多い街でした。バイクの多さとマナーの悪さにはびっくりです。歩道を走る、歩行者専用の横断歩道を青信号で渡っている前後すれすれを横切る、左折と対向右折が無秩序に入り乱れる、あちこちでクラクションが鳴り響く、といった具合、車のマナーも似たようなものです。それに、どこへ行ってもたくさんのバイクが走っており、排気ガスが気になります。

No.108:ベネルクス3国の旅 (2016年01月31日)

 「本当に行くの?」「無事の帰国を祈る!」といった言葉に見送られて出かけたブリュッセル、新年の3日まで開いているクリスマスマーケットをはじめとして街中が大変な賑わい、テロに対する人々の懸念は全く感じられません。

No.100:何事も大きく頑丈そうなロシアでした (2015年05月31日)

 ゴールデンウィークでの海外旅行は2回目、1回目は37年前の初めてのヨーロッパでした。それから何回も出かけているヨーロッパですが、今回はフィンランドのヘルシンキ、エストニアのタリン、ロシアのサンクトペテルブルク、と初めての国ばかりです。映画「かもめ食堂」の舞台となったヘルシンキを観光し、ムーミンのマグカップを購入、街中が中世のテーマパークのようなタリンを楽しみました。サンクトペテルブルク、旧レニングラードはヘルシンキから高速鉄道で行けることが分かり、急きょ計画に組込み、世界三大美術館であるエルミタージュ美術館や美しいエカテリーナ宮殿を見物しました。

No.096:南仏の旅 (2015年01月31日)

 1月1日元日の午前0時30分羽田発でパリ経由南仏ニースへ。搭乗するとすぐに「いつもエールフランスをご利用いただきありがとうございます」とプレミアム・エコノミーにグレードアップしてくれました。妻と2人で10万円以上相当のプレゼント、幸先の良い年明けです。


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