年末総決算

No.131:運慶展

 先月、友人を誘って運慶展に出かけました。お目当ての一つは重源(ちょうげん)上人坐像(東大寺俊乗堂。国宝)、源平の争乱で焼失した東大寺を復興した僧侶の坐像です。運慶は、貴族社会から武家社会に移行する過渡期に活躍した仏師で、日本のルネサンス彫刻と称賛する人もいて、圧倒的な力強さと徹底的なリアリティなどで、人々に感銘を与えています。

 重源上人坐像も、その息づかいが聞こえてきそうな、生き生きとした姿で彫られています。厳しさとともに優しさも感じられる老僧の像からは、彼に対する作者の優しい眼差しや尊敬の念が伺えました。仏師として復興に尽力した運慶、あるいはその一門の人たちだからこその作品ではないでしょうか。年2回、重源の命日と東大寺初代別当の法要の日だけに一般公開される貴重な像を、360度の角度から手が届くほどの間近で心行くまで拝観させていただきました。

 重源上人は23年かけて東大寺を復興しました。その間、勧進活動や巨木調達などで全国を回り、復興を果たし総供養を行った3年後に亡くなっています。86歳でした。この時代としてはかなりの長寿です。像からも、老いてなお精悍なオーラを感じることができます。東大寺復興という大きな目標と、それを成し遂げるための東奔西走の活動が長寿につながったに違いありません。
(参照:東大寺を再建した重源

 運慶展は大人気で、1ヵ月の展示期間で60万人が訪れ、寒空の中での入館待ちが60分にもなり、急きょ、最後5日間の閉館時間を17時から21時に延長しています。「史上最大の運慶展」と銘打った展示物の数々からは、運慶ら仏師たちの、人などへの観察眼の確かさと、仏師としての細部にわたる強いこだわりを感じました。だからこそ、1000年近くの時を経てもなお人々に感銘を与えるのでしょう。東西を問わず、大切に引き継がれていくものには、作者のそれだけの並々ならぬ努力、深い見識、究めた技などの総合力といったものがある、そういものだけが後世に残る、と改めて思いました。

今年の総決算です。

1.家族

家族に特別の変化はありませんでした。平穏な日々ということのようです。

2.友人たち

中学・高校時代、大学時代、会社員時代、それぞれの友人たちと楽しい時間を持てています。

3.趣味

最大かつ唯一と言える趣味、ウォーキングでは年間3746キロ歩き、1日平均10キロを達成しています。

また、東海道歩き旅は今年で8回目、お伊勢さんまでの466キロを13日で完歩しました。70歳までは続けたい、と始めた歩き旅、次の目標は80歳までは、ということでしょうか?


ユーラシア大陸最西端ロカ岬にも行きました。<写真へのクリックで拡大できます>

4.旅行

海外は北イタリア、台湾、ポルトガル、国内は金沢、青森、山形、奈良に出かけました。友人が新車を購入したので、2組夫婦で出かける国内旅行が2回もありました。旅行は暮しの一部、といった感じになっています。ありがたいことです。

5.日々の思い

今年も抜歯で悲しい思いをしています。この3年間で3本の抜歯、全て、若いころに神経を取り除いた歯です。残った歯は全て神経が通っているので大切にしていきます。

6.日々の暮らし

「住みたい街ランキング」でわが街の人気が上昇中で、関東上位3位に迫る勢いです。すぐ近くに家電量販店ができ、ますます便利、早速洗濯機を購入しました。おかげで脱水時の驚くほどの騒音から解放され、静かな日々を取り戻しました。

7.仕事

今年から、春と秋のベストシーズンに2週間ほどの長期休暇が取れるようになりました。春は東海道歩き旅、秋はヨーロッパ街歩き、となります。

また、私が70歳までは頑張るから、と言っていた勤務先事務所のボス、まだまだ頑張ってくれそうです。来年は勤務11年目に入ります。

の記事

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

 「授業中もぼんやりしていることが多い」とか、「教科書を忘れて来る」、「えんぴつも持たずに登校する」とかを小学校の通信簿連絡欄に書かれていた私ですが、中学に入ってからは少しまともになりました。

No.191:鹿児島・宮崎旅行 (2022年12月31日)

 今年は8回も国内旅行に出かけました。盛んに旅行したアメリカ駐在時代にもなかった頻度です。家を売って気が大きくなったわけではありません。コロナ禍前の年2回ほどの海外旅行よりも少ない出費です。旅行支援も背中を押してくれました。

No.179:沖縄旅行 (2021年12月31日)

沖縄は妻も私も初めてです。ツアーなので気楽、前準備もほとんどせず、その分印象の少ない旅行だったかもしれません。「憧れの沖縄リゾートステイ4日間」という新聞折込チラシを見て、コロナ感染が落ち着いているうちに、と申込みました。

No.167:コロナ禍の1年 (2020年12月31日)

 自宅から事務所まで歩くときに通る渋谷駅前スクランブル交差点、もうすっかりコロナ前の人出の感があります。これでは、感染リスクの高い会食も減ってはいないでしょうから感染拡大が止まらないのも当然か、と思ってしまいます。

No.155:タワマンの脆弱さ (2019年12月31日)

 10月12日の台風19号で、近くの47階建て高層マンションの地下室が水没し、停電、断水が何日も続きました。エレベータが使えず、料理はできず、トイレも使えません。囲碁サークルのメンバーに住民の方が数人おられ、階段の上り下りで足がおかしくなった、とのことです。電気システムが地下に集中しているタワマンの脆弱さが露見したと、マスコミにも大きく取り上げられました。

No.143:キャベツの効果は大きかった? (2018年12月31日)

 東京駅発の大型バス、乗客は私と妻と妻のお母さんの3人だけでした。二度の入院や圧迫骨折などがあって、今年はもう遠出はできない、と思っていたお母さんが元気になって我家に来れたので、福島県いわき市にある常夏のスパリゾート、ハワイアンズ行きのバスで出かけたのです。途中、妻の妹と合流した北千住でそこそこの人が乗り込んできました。現地も結構の人、平日とは思えない賑わいです。各所から無料送迎バスが出ているので、豊富な源泉をかけ流した大きな風呂と映画にもなったフラガールのショー、温水プールなどを気軽に楽しめます。

No.119:十大ニュース (2016年12月31日)

 今年の「私の十大ニュース」です。内容は少しづつ変わってはいるものの、タイトルは変わり映えしません。今年もいつものように無事過ごすことができた、ということのようです。ありがたいことです。

No.107:あやかりたい、三浦敬三さんの「攻めの人生」 (2015年12月31日)

 1日40km弱、9時間ほどを5日間歩きましたが、何事も起きませんでした。歩いているうちに身体が左に傾いてきて、腰を痛め、やがて歩けなくなり中断した今年の東海道歩き旅、その原因を突き詰めようとしたのです。

No.095:関東労災病院 (2014年12月31日)

 手術室に生れて初めて入りました。10月に自宅近くの総合病院で病院祭があり、そこでの見学ツアーに参加したときのことです。入る前に頭と靴を覆うビニールを装着し、手を消毒します。これだけでちょっと厳粛な気分。

No.083:スイスのクリスマス (2013年12月31日)

 スイスのチューリッヒを拠点に各地のクリスマスマーケットを巡りました。クリスマスマーケットは6年前の2007年にドイツのフランクフルトを拠点に周ったとき以来です。アメリカのシカゴに駐在していたころ、家々や街を飾り立て、人々が買物に出かけるクリスマスシーズンの楽しい雰囲気が好きでした。前回のドイツは9日間で6都市を訪れましたが、今回は6日間で7都市、ツアーだったのでかなり効率よく周ることができました。その分駈足ではありましたが。


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