ゴールデンウィークでの海外旅行は2回目、1回目は37年前の初めてのヨーロッパでした。それから何回も出かけているヨーロッパですが、今回はフィンランドのヘルシンキ、エストニアのタリン、ロシアのサンクトペテルブルク、と初めての国ばかりです。映画「かもめ食堂」の舞台となったヘルシンキを観光し、ムーミンのマグカップを購入、街中が中世のテーマパークのようなタリンを楽しみました。サンクトペテルブルク、旧レニングラードはヘルシンキから高速鉄道で行けることが分かり、急きょ計画に組込み、世界三大美術館であるエルミタージュ美術館や美しいエカテリーナ宮殿を見物しました。
ロシアの印象は広くて大きい、ということ。歴代皇帝の冬の宮殿だったエルミタージュ美術館、その広さは驚くばかりです。名画の数々を鑑賞しましたが、2日間、1日3時間ほどかけてもまわり切れない広さでした。建物だけでなく、道路も広く、繁華街のメイン通りは片道3、4車線、歩道も2車線ぐらいの幅があります。道に挟まれた1つのブロックも200mから300m幅と大きく、それだけ歩かないと横断歩道がありません。
日露戦争で出陣したバルチック艦隊の護衛巡洋艦、オーロラ号がネヴァ川に係留されているはずだったので、気の進まない妻を連れて見に行きましたが、このときも横断歩道で苦労しています。大通りを進んで三叉路を曲がるのですが、大通りに横断歩道が無く曲がれません。しかたなく、通り過ぎた十字路まで戻って横断歩道を渡り三叉路を曲がりました。このためGPS記録で570m、10分もの回り道をしています。大通りを渡る横断歩道は、三叉路には無し、十字路には1つ、交差する道側に2つ、というのが基本のようで、広い歩道に人があふれている繁華街でも例外ではありません。歩行者には不便ですが、車には便利、繁華街でもかなりのスピードでスムースに流れています。車優先の社会です。結局、苦労してたどり着いたところにオーロラ号はありませんでした。きっと翌日のメーデーの祭典で移動していたのでしょう。これで二人ともどっと疲れました。
地下鉄の駅間隔が1km以上あり、駅に行くのも、駅を出て目的地に行くのもかなり歩きます。オーロラ号のときも、地下鉄下車駅から係留地まで、回り道となった570mも含めて2.3km、34分ほど歩きました。帰りは地下鉄の駅に戻らず次の観光スポット「血の上の救世主教会」まで歩きましたが、同じ2.3kmほどでした。乗換えも駅によっては数百メートル以上歩きます。しかも地下鉄が走っているのは地下百メートルほどの深い硬い地盤、ホームに行くのにエスカレーターで2分、駅によっては3分以上かかります。地下鉄車両も頑丈そうで、ダークグリーンのその色合いともあいまってまるで軍用車両です。何事も広大かつ頑丈、のお国柄のようです。
でもロシアの人々の親切はありがたかったです。ヘルシンキからの高速鉄道でサンクトペテルブルクに到着、地下鉄の入口を探してうろうろしていると男性が行き方を説明してくれましたが、通じないと知ると小雨の中を傘も差さずにわざわざ連れて行ってくれました。エカテリーナ宮殿では、帰りに乗ったバスが逆方向、日本人がこの方向に乗るわけがない、と機転を利かせた運転手さんが乗るべきバス停の場所を説明するのですが、ここでも通じないと知るや、乗るべきバス停が分かるところまで、それは次のバス停でしたが、料金も取らずに乗せてくれたのです。その間、乗客の人たちもどうにかしてやりたい、という顔つきでした。街中でも、分かりにくい地下鉄駅入口を親切に教えてもらったりしています。ロシア文字、科学記号のような見慣れない文字で最初は違和感があったものの、だんだん可愛らしく見えてきた、と妻が嬉しそうに話すほど親近感の持てる街となりました。これも旅の醍醐味、出かけてみるものです。