ベストセラーとなった「考える力をつける本」の著者で
「朝日新聞」元論説委員の轡田隆史(くつわだ たかし:1936年東京生まれ)氏は「文章を書く上で重要なことは『なに』を書くかであって、『どう』書くかは屁のような(ささいな)ことだ」と主張する。『なに』が書けるかは、『なぜ』をどれだけ考えているかによって決まる。文章は体験であり、体験を自覚しながら日々を生きる、それを轡田氏は「日々を書くように生きる」と表現している。体験があっても自覚がなければ文章は生まれない。自覚があれば小さな体験であっても素晴らしい文章が生まれる。『自覚』のための有力な方法が、どんなことにも『なぜ』という疑問を持つことなのだ。
マイクを使わず立ったままで、受講生の反応を見ながら、静かに、優しく語る姿からは豊富な経験と自信が感じられた。最後に、受講生が事前に提出していた課題、テーマは「言葉」で400字以内の文章、に対して次のようなコメントがあった。
1.前置きや説明が最初に出てくる。前置きはいらない。いきなり本題に入り、後から説明する。
2.「人は一生のうちで数多くの言葉に出会う」といった一般論、当たり前のことを最初に出さない。
3.文章に完成品はない。全て未完成品、だからこそ誰でもが完成品に向かって書いている。
4.ブログをテーマにしたものもあったが、みんな似た話となっている。人が書かない、自分自身の実体験を書け。パソコン画面にどっぷり漬かり過ぎ。
5.当たり前の中に潜む驚くべき真実を書け。