「TOKYO★1週間」「KANSAN 1週間」の編集長奈良原敦子(ならはら あつこ:1960年名古屋生まれ)氏は道なきところに道を作るような逞しさと知恵をもっているようだ。
「KANSAN 1週間」の創刊では関西での事務所探しやライター募集から始めて、2年間で軌道に乗せた。講談社社内では「変わっている」と言われるらしいが、社内の常識ややり方に捉われない発想や行動がそう言わせるのだろう。
インターネットの普及で情報誌が苦境にあるなか、一次情報が集まる強みを生かしての、フリーペーパー、Web、映画などの制作や出資にも積極的だ。フライデーの携帯サイトは、雑誌フライデーを持ち歩くのはいやだが記事は読みたいという女性に支持され、儲かっているそうだ。Webのそんな可能性をしっかり見据えているようにも思う。いつも前を見て歩いている、そんな感じの人だ。
良い企画とは、発見(新しい発見がないと新たな号とはいえない)、共感(そうそうそんな感じだよね)、提案(なるほどね、と思わせるもの)、疑問(何それ)、お得感(半額、食べ放題など)、事情通(噂や覗き見など)があること、だそうだ。企画書では自分自身の経験をディテールとして盛り込むことが、企画のイメージを明確にし、説得力を増すためのポイントだ、とも奈良原氏は言う。企画が命の編集者には「街を歩け」「怪しいところにも行け」とけしかけているそうだ。
今日の明け方に校了し、そのままマージャンに入り、その後この講座に来たという奈良原氏は、細身で優しそうな外見からは分からない強靭な体力と精神力を持っているようだ。そうでなければ編集長など務まらないのだろう。