「ライターは作家とは違う。黒いものを白く書けと発注者が言えば白く書くのがライターだ」と始まったフリーライター&イラストレータ山田ゴメス(やまだ ごめす:1962年大阪府生まれ)氏の「フリーライターになる20ヶ条」では、「都心に住め。深夜、タクシーの短距離で帰れるところに住まないと仕事を逃がす」といった現実的で、作り物ではない迫力と氏の逞しさが感じられた。
イラストレータの頃に、アダルトビデオ評論を頼まれたのがきっかけでライターともなった山田氏は、他人のイラストを自分の作品のように紹介して仕事を得たり、1時間以上のアダルトビデオを早送りで見ながら評論を書き、1本当り15分、3日で30本の評論を仕上げるという、既成概念に捕らわれない型破りの人だ。また、目の前の仕事を貪欲に取り込んでいく、何でもありの異端児のようにも見える。
講座の最後に「みなさんどうもありがとうございました」との丁寧な言葉があった。他の講師からは聞くことのない言葉だ。
そんな、誰をも大切にする姿勢が山田氏活躍の秘訣なのかもしれない。
**** 山田ゴメス氏の「ライターになるための20ヶ条」****
1)ライターと作家の違いを認識しておくこと。黒いものを白く書けと発注主が言えば白く書くのがライターだ。
2)書く前の仕切りが仕事の70%だ。書いたものの出来が悪くても編集者などでフォローできるが、書く前の仕切りが悪いと誰もフォローできない。
3)都心に住め。軽いフットワークが仕事を入手する条件。(4)同棲をやめろ。別れたときの住所変更が仕事を奪う。
5)ペットをすてろ。毎日の散歩ができないとダメな犬は特にやめろ。犬がかわいそうだ。
6)とにかく「ライター」肩書きの名刺を作れ。ネガティブなペンネームはやめろ。(7)FAXを持て。ゲラ返し(ゲラ校正)ではFAXが必須だ。
8)パソコンは必須。手書き原稿は受け取ってもらえない。(9)クレジットカードを持て。取材先などでの緊急出費に必要。
10)少し目立つ服装にしろ。目立ちすぎはダメ。
11)プロっぽく振る舞え。山田氏がイラストレーターの駆け出しの頃、他人のイラストを自分の作品として見せ仕事をとっていた。
12)目立ちすぎるな。(13)二股をかけられる能力を持て。イラストレーター&ライターのように。(14)ライターとは関係ない過去の技能を活用しろ。
15)自分が特別な人間だという意識は捨てろ。
16)正面からだけでなく、横からも攻めろ。やりたい雑誌があったら、その雑誌とは関係ない部署でもいいから、まず雑誌社に入り込め。
17)セクハラを覚悟しろ。編集者の異性への下心を知っておけ。(18)企画は質よりも量だ。
19)インタビューに必要なリズム感を持て。相手の目を見て話せ。(20)適当な人間になれ。凹んでいる暇はない。「次行こう!!」の精神が大切だ。