「その場に行かなければ写真は撮れない」と、撮影の苦しさと楽しさを語る福田文昭(ふくだ ふみあき:1946年山梨県生まれ)氏は行動派記録カメラマンだ。全国各地の動物園での動物写真から、三浦友和と山口百恵のツーショット写真までその活動範囲は広い。このツーショット写真は40日もの張り込みの末撮影されたもので、二人の婚約発表のきっかけとなった。「(二人の写真を)撮りたかった」と当時の想いを振り返る福田文昭氏の講座は、ライターや編集者と同様にカメラマンも自らの『想い』が大切であることを教えてくれるものだった。
『田中角栄法廷写真』(『FOCUS』1982年4月9日号)の撮影で知られる福田文昭氏のカメラマン活動は30年以上にわたっている。その経験から生れた『写真を好きになる8ヶ条』がある。①(感じたままに、素早く)詩を書くように写真を撮る、②フィルムを入れた軽いカメラをいつも持ち歩く、③ボーとして、気軽に撮る、④メモをとるようにカメラで記録する、⑤好きなもの(人)を、繰り返し何回も何回も撮る、⑥アルバムに撮影順に全て入れて他人に見せる、⑦取材で会いに行った人は写真も撮る ⑧写した人には必ず写真を送る、で各項目が丁寧に説明された。「⑤好きなものを、繰り返し撮る」ことでの発見は多く、その発見が良い写真を生む、しかもそれは好きだからこそできる、といった実体験からくる説明は共感できる内容だった。
講座の最後に花田編集長が「編集者は、とにかく写真を数多く見ること。写真集でも、展示会でもあらゆる機会を使って多くの写真を見ること。これが大切」と強調していた。