今年は豪華なお正月となりました。事務所のボスが年末年始を台北で過ごすので、我々夫婦も元日に台北へ、ボスと共に三日三晩の美食の日々となったのです。宿泊もボスと同じ高級ホテル、広々とした部屋、高級なアメニティ、1日2回のベッドメイキングなどがグレードの高さを実感させます。2回目のベッドメイキングは寝るためのもの、高級ホテルでは普通のサービスらしいのですが、初めての体験です。
到着した元日は、新年零時にビル全体が花火と化す台北101、その近くの高層ビルにある会員制クラブでの夕食でした。シックな内装の落ち着いた部屋で、美しい夜景が眼下に広がる中、フカヒレの姿煮、北京ダックなどをいただきました。我々夫婦には縁のない高級感あふれる雰囲気と料理です。
2日、ホテルの朝食はボス用に特別予約されたテーブルで、バラエティ豊かなビュフェ、好みの具で料理してくれるオムレツや熱々の汁ビーフンのコーナーもあります。ボスは特別注文の朝食、少し分けていただきました。焼きたてのクロワッサン、ホテルご自慢の味で、ボスからの「美味しいパンを」という要望を受けて、帝国ホテルから製パン職人を招いて指導してもらった成果だそうです。前日から仕込むフレンチトースト、これもこだわりのボスに応えての料理なのでしょう、柔らかな食感やバターの風味は絶品でした。それに上品な甘さの新鮮なパパイア、どれも極上の味、1日の始まりとして朝食を大切にしているボスらしい内容です。
夕食は上海料理、おそらく台北一の味でしょう。企業の幹部が利用する、以前はなかなか予約が取れなかったお店、いまは比較的取りやすいとのこと。利用するビジネスマンたちの活動が中国に移りつつあるからだそうです。豚肉、魚、鶏の3つの鍋、角煮のように煮込んだ豚の大腿骨、とくに鍋にあった白菜は柔らかく甘みがあり、豚肉などのうま味もしみて絶妙の味、白菜は大好きでたくさん食べてきましたが、これほど美味しいのは初めてです。台湾の人たちの食への情熱的なこだわりは、ケージに入ったたくさんの生きた鶏を、街角の市場で売っているのを見ても分かります。そんな台湾の、しかも上級ビジネスマンたちが客となって育てた味、日本では体験できない美味ではないでしょうか。
最後の3日の夕食は海鮮料理、店先にある水槽から食べたいものを選びます。カニ、海老、魚、白子などをいただきました。料理はシンプルで、素材の美味しさが引き立ちます。高給取りの日本人駐在員でも高くてなかなか来れないというお店、素材の確かさがあります。最後に担仔麺と汁ビーフンを、そのスープは日本のだしとはまた違う美味しいものでした。
三日三晩の大ご馳走、ボスが今まで散々食べたなかから、確かな店と料理を選んでくれました。なにしろ、母親が残した家を売ったお金を妹と二人で分け、自分の分は全て友人たちと食べてしまった、というほどの食いしん坊ですから、その選択眼に狂いはありません。ボスに出会わなければ体験することは生涯なかったであろう味の数々、豪華なお正月、というだけではなく、ボスの人生を垣間見た貴重な経験でもあったようです。ちなみに、我々二人の飛行機、ホテル、食事、全てボスが支払いました。食いしん坊で太っ腹のボスでよかった。