普段から家で料理しているプロ級2人と、普段食べるだけの素人である私ともう1人の計4人の男性による料理、1人はもうすぐ70歳、他3人はもう71歳、大変なことになるのでは、と妻が心配する中、みんなが集まるプロ宅へと出かけました。
「男の料理教室」と銘打ってみんなに声を掛けたプロのご自宅に男性陣が集合、近くのスーパーに全員で買い出し、帰ってからは砥石での包丁研ぎから、買物や道具こそが大切、とのプロの教えです。各自が持参した包丁、私は妻から「あなたは研がないように」と釘を刺されていたので、プロが見本を見せるときに研いでもらいました。後日、よく切れるようになった、と妻にちょっと喜ばれています。
メニューは「牛すじ大根」「筑前煮」「アボカドとポテトのサラダ」「大根の皮のきんぴら」「ほうれん草のおひたし」で、初心者2人を考慮したものだったのでしょう。結果、妻の心配と期待は見事にはずれ、全て順調に、大変美味しく出来上がったのです。「料理なんて簡単じゃん」との感触すら持ちました。料理ができたころを見計らって、妻ともう一人の奥さんが到着、計6人での宴となり、美味しい料理にみんな大満足、会話が楽しく弾みます。美味しい料理の効果は抜群です。またやろう、ということになりました。
「簡単」との感触だったので、後日、メニューの中で一番簡単そうな「サラダ」と「おひたし」をごく軽い気持ちで自宅で作り始めました。ところがこれがなかなか手ごわいのです。プロ宅では簡単だった茹でた後のジャガイモの皮剥きに悪戦苦闘、玉ねぎには辛みが残り、おひたしは柔らかすぎでした。
プロにメールで報告すると、ジャガイモは皮がしわしわになって一部が浮いているような状態にしてから剥く、玉ねぎは水にさらすと栄養分が抜けるのでそのまま放置して辛みを抜く、おひたしは湯の量が少ないとほうれん草を入れた時に温度が下がるので長く茹でることになる、との指導を受けました。ジャガイモを茹でたり、玉ねぎを用意したり、ほうれん草を茹でるお湯を用意したりしたのは全てプロで、肝心なところは彼がしっかり押さえていたのです。そんなこととは知らずに、「簡単じゃん」とは浅はかでした。
「料理は科学」というのがプロの持論、NHKの朝ドラ「ごちそうさん」でも、玉子の黄身がトロリとあふれ出すスコッチエッグの作り方を科学的に探究する姿が描かれています。科学は、料理は、人を幸せにするためにある、ということなのでしょう。共に奥が深い。
自宅での料理から1カ月ほど、再チャレンジは未だです。懲りたのではなく、時間がとれないだけ、と妻には言い訳しています。