70歳になっても歩けていたらいいなぁ、と思いながら始めた毎年の東海道歩き旅、その70歳の今年も完歩しました。8回目です。自宅から伊勢神宮まで466キロ、13日の歩き旅でした。
一昨年から歩き旅の楽しさが失われつつあります。それまでは、通しで75キロ歩いた、とか、仮眠2時間をはさんで夜通し96キロ歩いた、とか、6日連続で1日50キロ以上歩いた、とか、まるで荒行のような旅で、それが楽しさでもあったのです。ところが、一昨年、身体が傾いてあまり歩けなくなり、春と秋の2回での完歩となってしまい、昨年は、1回で完歩したものの、帰宅してから2週間ほど疲れが取れませんでした。今年も同様に疲れが残り、70歳を機に歩き方を考え直すときがきたようです。
荒行のような旅はもうできないのでしょう。歳を考えるとそれが当たり前なのかもしれません。健康維持を目的に始めた歩きですから、それで疲れを溜め、健康を害するようなことがあれば本末転倒です。分かってはいるのですが、楽しみが奪われたような寂しさもあります。
自分の歳や体力に見合った歩き旅、妻は、「日光にしたら」と言います。自宅から150キロほどで、到着後に観光する余裕すらあるかもしれないし、日光なら妻も電車でやって来るかもしれません。返事はしていません。歩き旅、無理してまでやるようなことではないのですが、少し無理した目標でないと、完歩することでの達成感や喜びがありません。「少しの無理」と、「歳」や「体力」との見極めが難しいところです。
箱根下山で出会った男性は、歩くのが大好き、とのこと。海抜0メートルの海岸から歩き始め、富士山頂浅間大社奥宮に海水を奉納すること16回だそうです。箱根下山の、芦ノ湖から三島のご自宅までの20キロほどは、いつものウォーキングコース、といった感じでした。77歳だそうで、話を聞いてとても元気づけられました。私も、私なりの目標設定をして、いつまでも元気に歩き旅を続けたいものです。
勤務先事務所を2週間以上休んで出勤した日、「また来年も行くつもりです」とボスに言うと、「まだ行くの」と少しあきれ顔でした。疲れが取れていないときだったので、「たぶん」とだけ答えています。でも、来年の春には、喉元過ぎれば何とやら、で、またお伊勢さんにいそいそと出かけて行くような気がします。何にこだわるかは人様々、それがその人のアイデンティティ、好きにさせて、などと言いながら。