函館から先は全列車運休です、との車内アナウンスに唖然としました。迷走台風、10号が日本海に抜けた翌日の秋晴れの日、ルンルン気分で乗り込んだ北海道新幹線はやぶさ号新函館北斗行でのことです。北海道での台風被害は知っていましたが、函館から先が不通だとは、全く知りませんでした。他の被害が大きく、運休はニュースにもならず、東京駅でのお知らせもありませんでした。
「北海道新幹線開業記念 大人の休日パス」、新幹線を含めた東日本・北海道JR全線5日間乗り放題の旅、函館から先に行けなければ意味ありません。車内では、同じパスでの旅らしき同年代の人たちが目立ちます。函館駅に着くとたくさんの人、線路被害情況と復旧見通しを駅員が総出で説明していました。今日は函館泊なので、明日運行されれば問題ないのですが、明日のことは夕方にならないと分からないとのことです。
駅では、足止めをくらった人たちが今日の宿を懸命に探しています。ホテルに着いたときも、札幌からの電車が来ないので空く部屋があるだろう、とフロントに詰め寄っている人がいました。函館はどこも満室なのかもしれません。ホテルロビーにあるパソコンを見ながら、これからどうしようかと考えていたとき、同年代と思われるご夫婦が隣のパソコンを操作し始めました。話しをしてみると、やはり大人の休日パスの旅でした。函館は2泊目なので、宿がとれるのであればレンタカーで札幌まで行こうかと二人で相談しています。我々も一緒に、と言おうとしましたが、帰れなくなると困るのでやめました。
函館を半日観光して、夕食後駅に行くと、やはり明日も全列車運休、明日の旭川、明後日の函館のホテルをキャンセルして、青森のホテルをとりました。これで、旭山動物園の筒状水槽内を上下するアザラシも、のんびり走る富良野・美瑛ノロッコ号も、ファーム富田のメロン・ソフトクリームも、富良野町でのオム・ソーセージカレーも、全て夢と消えました、残念。
急きょ立寄った青森での観光は三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき)、縄文時代中期の集落を再現しています。縄文時代は1万年以上、次の弥生時代に入ってから現在までが2300年ですから、とてつもなく長く続いた時代で、世界史でも他に例がないそうです。遺跡には集会場と思われる大型竪穴式住居や見張り台と思われる高い塔もあります。500戸余の大集落、狩猟文化でこのように大規模な集団生活が維持できたのは奇跡、とも言われています。豊かな自然と共に生きる日本人の気質、知恵があったからこそ、という専門家の見解があり、日本人の原点がここにある、という気がします。新潟・糸魚川のヒスイが発掘されているのも驚きです。
5日間パスなので残りは2泊3日、最後に1泊する予定だった糸魚川の妻の実家に行くことにしました。2年ぶりです。新幹線乗り放題だからこそ長距離でも気軽に移動できます。飲み放題、食べ放題の魅力は歳とともに薄れていますが、乗り放題はありがたいシステム、旅行と帰省が同じ切符でできるのです。函館と青森で美味しいお寿司をいただき、妻の実家で団らんを楽しんだ旅行となりました。