昨年の夏は「北海道&東日本パス」、普通列車7日間乗り放題1万円の旅でしたが、今年は「大人の休日倶楽部パス」、新幹線も含めた4日間乗り放題1万5千円の旅となりました。普通列車からいきなり新幹線にグレードアップ、昨年9時間以上かかった盛岡が今年は2時間半です。
パスの名称からも分かりますが、ジパング倶楽部会員専用、65歳から入会できるので5ヶ月ほど前に入りました。200キロ以上のJR切符であれば、最初の3枚が2割引、4枚目から3割引となります。6月に京都2回と大阪1回を往復し、今回のパスで4回目の旅行、このうちどうしても行かなくてはいけなかったのは京都だけ、その他はこの倶楽部特典が背中を押しています。まあ、JRの戦略にまんまと乗せられている、あるいは、喜んで戦略に乗っている、ということのようです。
旅行は秋田の角館、見どころは何といっても武家屋敷通り、幅11メートルという広い通りの両側に武家屋敷の黒板塀が続き、その塀を覆うばかりの大きな枝垂桜が屋敷内から伸びています。武家屋敷には樹齢200年もの大木もあって、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉、冬の雪景色、などの素晴らしさが想像できます。唯一のシーズンオフが真夏、しかも40年ぶりの猛暑というか残暑でした。でも、3000坪もの武家屋敷が分割もされずに残り、200年前の屋敷が今でも住めるほどに維持されている姿は見ごたえがあります。1976年、岐阜高山の白川郷などとともに最初の重要伝統的建造物群保存地区となったのもうなづけます。「たそがれ清兵衛」など、多くの時代劇のロケ地となっています。
桧木内川(ひのきないがわ)堤の全長2キロにわたるソメイヨシノも有名で、桜の時期には150万人もの人が訪れるそうです。国名勝に指定されています。早朝のひっそりした堤で、心地よい川風を受けながら涼しい木陰をぶらぶらしています。真昼には、堤沿いにあった名物「もろこし」、あずきで作ったラクガンのようなお菓子、の店でもろこしソフトクリームをいただきました。もろこし味とミルクのコンビネーションで美味しさを倍増しています。店頭で食べながらふと道向こうを見ると、ババヘラアイスとあります。お婆さん(ババ)がヘラでシャーベットをバラの花の形ちにしてくれる秋田名物、ソフトに続いてこれも食べました。形ちだけでなく、味もなかなかです。また、ここで手を洗った井戸水、その冷たさ、気持ちよさは格別でした。唯一のシーズンオフであっても、それなりに楽しみがあるのです。昼食の地鶏は味付けが濃くていまいちでしたが、夕食の豆腐料理は大変美味しくいただきました。水が美味しいところなのでしょう。豆腐の味は水で決まるといいますから。
角館で1泊して、翌日は盛岡で美味しい冷麺を食べてゆっくりしてから、大宮で上越新幹線に乗換えて糸魚川へ、妻の実家に行きました。新幹線や特急だからこそできる移動です。改札口やみどりの窓口で同じパスを持った方を見かけています。前日の新幹線でも、同じ車両の3分の2ほどの乗客がこのパスの利用者とおぼしき人たちでした。夫婦のどちらかが65歳以上であれば二人とも入会できるためか、夫婦連れが多く、昨年の「北海道&東日本パス」とおぼしき人たちが、初老の男性や若い女性の一人旅、中年女性や若い男性のグループ旅だったのとは少し違う雰囲気です。一昨年の「青春18キップ」、昨年の「北海道&東日本パス」と、普通列車の旅もそれなりに楽しかったのですが、今年新幹線の旅を味わってしまってからは、普通列車には戻れないかもしれません。