ここ台北は、昨日までの強い日差しを雲が遮り、蒸し暑さは変わらないものの、まずまずのウォーキング日和です。市内のホテルから北投(ベイトウ)まで約13km、3時間弱の海外街歩きに出かけました。
北投は温泉地、少し前ですが、加賀屋が日本から進出して日本式”おもてなし”を取り入れたことで話題になっています。東日本大震災への義援金が180億円という、人口2,300万人、平均年収150万円の国からの破格の支援、月収を差し出したという人もいる、世界一の親日国台湾でのウォーキング、海外初挑戦ともなりました。
町並みはどちらかというと日本似、看板の漢字も日本似、人々の外見はもう日本人、そして良好な治安、親日、とくれば海外という緊張感はありません。湿気のある暑さ、走り回るたくさんのバイク、道の両側に並ぶ活気あるテントの売店、公園のベンチでのんびり休む老人たち、そんなところに台湾を感じながらの歩きです。いつものGPS機頼りですが、日本国内のような詳細地図はなく、事前入力したウォーキングルートの線が1本表示されているだけです。このため、ルートは航空写真で慎重に検証しています。今回もルート中に歩道のない橋を発見して別ルートに変更しました。そのままだと迂回路が分からないまま、ウォーキング断念の可能性もあったのです。
亜熱帯気候ですが、9月末で曇り、ということで肌着が少し濡れる程度の汗、日本の夏の曇り、といったところです。途中で飲んだ、大好きなスイカジュースも小杯20元(約60円)で満足しています。シンガポールでは思わずお代りをしたスイカジュースもここでは小杯1杯で十分、やはり熱帯と亜熱帯の気候の違いなのでしょうか。ここでのお勧めは、凍ったミルクで作るマンゴーカキ氷、昨晩の夜市で初めて食べましたが、噂通りの美味しさでした。
平日だからでしょうか、歩いているとお年寄りが目立ちます。日よけ屋根のある通路に出した椅子で、公園の木陰のベンチで、のんびりくつろいでいる、表情はとても穏やかです。道の両側にテント売店が並ぶ市場を通ったときの活気やざわめきにも、焦ったり、苛立ったりしている雰囲気は感じられません。果物などが並ぶ横では上半身裸の中年男性が数人、椅子に坐って話し込んでいます。結婚式は定刻の1時間遅れぐらいで集まってくる、といわれた昔の台湾、そんな楽天的でゆるいDNAを垣間見た思いがしました。
スイカ牛乳とホットドッグをコンビニで買ったとき、ホットドッグに付けるケチャップやらマスタードやらの何種類かの小袋を見せて、どれが好みか聞き出そうとします。マスタードらしきものを指すとそれをいくつも持ってきました。言葉の通じない外人のためにどうにか役立ちたい、といった気持ちを強く感じる対応ぶりでした。ゆるいけどあたたかな気持ちの人々、だからこその巨額の義援金だったのかもしれません。
北投までの13kmを3時間以内、うまくすれば2時間半、とみていましたが結果は3時間半、このため足湯や温泉街の見物を諦めて到着してすぐに帰りの電車に乗り込みました。脇目も振らずに歩くだけのいつものウォーキングとは違い、あちこちを見て歩いたということかもしれません。北投という観光地は見逃したものの、ウォーキング途中で見聞きした人々や風景は観光地以上に心に残るものでした。3泊4日の台湾出張で唯一のオフだった今日の半日、大好きなウォーキングができて満足しています。