「愛犬と同伴の温泉旅館」という雑誌の記事タイトルを見ながら、温泉ネタもコラムにいいかも、と考えモモに体験してもらうことにしました。前回のセルフシャンプーといい、にわかに忙しくなったモモです。温泉ネタといっても、贅沢な温泉旅館ではなく、お台場の「綱吉の湯」といった近場の天然温泉でもなく、最寄のトリミングサロンでの入浴剤による温泉浴サービスです。普段の質素な生活ぶりからも、このあたりが我家には分相応ということになります。
実際に行ってみても「温泉浴だけならこれで十分」という感じでした。まあ、温泉旅館に行くような人は温泉浴だけが目的ではないでしょうから、十分とはいえないでしょうが。入浴剤といっても別府温泉の温泉ガスから生成される天然入浴剤だし、モモ専用の使い捨て温泉なので安心というメリットがあります。湯船が小さいのも、人間のように広いローマ風呂で手足を伸ばすわけでもなく、じっとしているモモには十分でしょう。それに大変なのは温泉浴前のシャンプーや温泉浴後の乾燥で、その点トリミングサロンの方が便利です。
このトリミングサロンはとても繁盛していて、次から次へと犬がやってきて、4人のトリマーの方はフル稼働なのですが、この日、温泉浴サービスを受けた犬はモモ以外には1匹のパピヨンだけでした。その犬はお腹にできた湿疹が温泉浴で治ってからはトリミングのたびにこのサービスを受けているそうです。温泉浴、泥パック、アロマテラピー、マッサージといった癒し系サービスは、犬本人ではなく飼い主がそのメリットを見出さない限り受けることはありません。ですから、人間の場合のように、健康な人が健康増進や楽しみのために受けるというよりも、問題を抱えた犬が半ば治療のように受けることが多いのではないでしょうか。そう考えると、サービスを受けずに済む犬の方が幸せなのかもしれません。モモの温泉浴もこれが最初で最後になるでしょう。そういうモモは幸せな犬に違いない、と勝手に思っています。