ライターな日々

Yahoo第10話:愛犬が病気になって分かったこと

犬のようちえん1
背中を丸めて痛々しく歩くモモ
犬のようちえん2
すっかり元気になったモモ

 病気になった愛犬の痛々しい姿を見るのは辛いものです。どこがどのくらい痛い、などと本人は言わないので想像するしかなく、想像はふくらみ辛さもふくらみます。会社での仕事も手につきません、といってもそれほど大そうな仕事でもないのですが。頼りにするのは獣医さんですが、頼りにならない獣医さんもいます。

 今回、1人目の獣医さんは頼りなく、2人目の獣医さんは冷たく、3人目にやっと頼れそうな獣医さんに出会うことができました。そういうなかで犬医療の現状を垣間見ることとなり、良い獣医さんを見つけることがいかに大切かを知ったのです。人間医療のように恵まれた医療環境ではない犬医療では、人間医療以上に獣医さんしだいで、獣医さん個人の人格や知識、経験に全面的に頼らざるを得ないからです。

 私が垣間見た、理解した犬医療の現状とは、総合病院や専門医、医師の人数や収入が人間医療と比べて少なすぎる、ということです。
人間医療では当たり前の総合病院や専門医は僅かで、簡単な設備の個人経営病院で、数人の獣医さんがいるものの補助する看護婦さんはいない、専門などなくどんな病気でも一人の獣医さんが診断、治療する、というところがほとんどではないでしょうか。獣医さんの人数も少ないように思います。数値だけでみると、人間医療が人口340人に1人の医師なのに対して、犬猫医療では犬猫2,500頭に1人の獣医師なのです。(注1)我家の近所にある動物病院はいつも混んでいて1時間待ちが当たり前となっています。診療費も低いかもしれません。10割負担である愛犬モモの診療費が3割負担である私自身の診療費とほぼ同額なのです。診療内容が違うので比べるには無理があるし、動物病院によっても違うのでしょうが、人間医療のお医者さんと同等の収入を獣医さんが得ているとは、失礼ながら思えません。

 このような犬医療の現状では、良い獣医さん選びが大切だと最初に述べましたが、医療の専門知識のない飼い主がどのように良い獣医さんを見分けたらよいのでしょうか。私の場合は、信頼できそうか否かが大きなポイントとなりました。今回診ていただいた3人の獣医さんのうち、1人目の獣医さんの診断は椎間板ヘルニアで処方も消炎鎮痛剤と、結果的には3人目の獣医さんとほぼ同じだったのですが、レントゲン撮影もなしに触っただけで椎間板ヘルニアと診断されても納得できず、頼りなさだけが残ったのです。2人目の獣医さんはインターネットや雑誌で名医として取り上げられている方ですが、ほとんど診察せずに手術以外は考えてもくれません。外科専門医なので当然だったのかもしれませんが、冷たい印象で信頼関係が築けるような感じではありませんでした。3人目の獣医さんが信頼できそうだと感じたのは、モモの入念な診察、確認のレントゲン撮影、同僚との診断協議などを目の当たりにしたからです。この獣医さんは、何代かの犬を長年飼っている友人に紹介していただきました。友人にはいろいろな病気の経験があるのでしょう、確かに良い獣医さんでした。内科療法だけでモモを元気にしてくれたのです。そういう意味では信頼できる経験豊富なブリーダーに紹介していただくのも良いのかもしれません。

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注1:
人間医療は医師約37万人(厚生労働省発表「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」2004年12月現在)、日本の人口約1億2千600万人(厚生労働省発表「人口動態統計の年間推計」2004年10月現在の推定人口)で、340人に1人の医師となり、犬医療では、犬猫個人診療施設の獣医約1万人(農林水産省発表獣医師の届出状況(獣医師数)」2004年12月現在)、犬猫の飼育数約2,500万頭( ペットフード工業会 第12回 犬猫飼育率 全国調査2005年10月)で、2,500頭に1人の獣医となります。

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Yahooセカンドライフ第11話:お年寄りのアイドル健太郎君 (2007年02月01日)

 特別養護老人ホーム王子光照苑のお年寄りたちのアイドルである健太郎君は子犬のときに右前足を骨折して河原に横たわっているところを動物愛護団体に保護された野良犬でした。交通事故にあったと思われ、人にいじめられてもいたのか、車や人を極端に怖がる子犬で、怪我の治療や食事の世話などにはかなりの根気が必要だったようです。

Yahoo第9話:犬のしつけ (2006年12月01日)

 「犬のようちえん」を見学しました。そこは、そのネーミングから想像する可愛くて楽しいイメージとは異なり、ときには緊張すら感じられる犬のしつけの現場でした。トイレのしつけでは、トイレの場所を教えるためにその気配があるたびに何回でもトイレの場所に連れて行きます。犬同士の遊びでは、常に犬の表情を見ながら喧嘩とならないように介入しなくてはなりません。トレーナーの方々に笑顔はあまりないのです。トレーニングの場である以上は当然なのかもしれません。笑顔で愛犬と接する楽しい時間が持てる飼い主の幸せを改めて感じました。

Yahoo第8話:犬の温泉浴 (2006年11月01日)

 「愛犬と同伴の温泉旅館」という雑誌の記事タイトルを見ながら、温泉ネタもコラムにいいかも、と考えモモに体験してもらうことにしました。前回のセルフシャンプーといい、にわかに忙しくなったモモです。温泉ネタといっても、贅沢な温泉旅館ではなく、お台場の「綱吉の湯」といった近場の天然温泉でもなく、最寄のトリミングサロンでの入浴剤による温泉浴サービスです。普段の質素な生活ぶりからも、このあたりが我家には分相応ということになります。

Yahoo第7話:犬のシャンプーノウハウが学べます (2006年10月01日)

 愛犬モモの我家でのシャンプーが重労働なので、安くてよい方法はないかと探し出したのが犬の全自動洗浄乾燥機とトリミングサロンでのセルフシャンプーでした。全自動洗浄乾燥機は見学までさせていただいたのですが、臆病なモモには使えそうもなく、セルフシャンプーは実体験してみて我家でのシャンプーよりも大変なことが分かり、結局、我家での重労働シャンプーはこれからも続くという結論になりました。

Yahoo第6話:子供と犬 (2006年09月01日)

 文章がすんなり頭に入ってこない、何が飛び出してくるのか予測がつかず、まるで混ぜご飯を食べているようだ。というのが会社の同僚の感想だった。何の前触れもなく、しかもまるで前述の人名のように新しい人名が出てくる。1つの段落に1つの主題、という原則も崩れている。

Yahoo第5話:老犬介護 (2006年08月01日)

 相変わらず書き手の顔が見えない文章を書いている。そこで、最初の段落に自分の考え方をできるだけ入れることにした。でも「老犬介護」って何だ、とあらためて自分の考えを整理してみると、悲しいとか辛いとかのネガティブなことしか頭に浮かばない。

Yahoo第4話:ポチたま会 (2006年07月01日)

 書き手の立ち位置の分からない文章は、冷たく無機質で得体の知れない不安を読み手に与える。最初の文章を会社の同僚に読んでもらったときの感想が「書き手の顔が見えない、感情のない内容」とさんざんな評価だった。

Yahoo第3話:駒沢オリンピック公園ドッグラン (2006年06月01日)

 最初に書いた文章は、ドッグランを愛犬家のコミュニティの場と位置づけ、そのコミュニティへの参加を勧める内容だった。会社の同僚からは「不快だ」、妻からも「最低」といった評価を受ける。そんなコミュニティ経験もないのに、「あれいいんじゃない」などと書いても読むほうは不快になるだけということだ。

Yahoo第2話:叔母と犬 (2006年05月01日)

 読み手に伝わらないどころか読む気にもならない文章、それが最初の文章だった。身内の話なので思いつくままをだらだらと書き連ね、自分にとって分かりきったことは省き、嘘すらついている。このときも何回も書き直し、しだいにまとめていった。最初にやったのは「嘘をつかない」こと。格好をつけたり、面倒な説明を省くために嘘をつく、それをやめた。次に、自分だけが分かっていて省いたことを丁寧に文章にして、事情の分からない人でも理解できる文章にすること、そして、思いつくままに書いた文章のほとんどを捨てて、話題を1つのテーマに絞り込んだ。

Yahooセカンドライフ第1話:犬がいてよかった (2006年04月02日)

 7、8回は書き直した。書いた直後は「やった」と思うが、しばらくして読み直すと気にいらない、そんな繰り返しだ。書き直すたびに内容が収束する感覚があったので、書き直し作業を続けた。この書き直しがテーマをより深く考え、少しは読める文章にできた要因だと思う。このように「書きながら考える」のではなく、「考えてから書く」ほうが効率的だとは思うが、そんな能力がないのだから仕方がない。


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