週2日働いている事務所ではいろいろと美味しい思いをしていますが、それだけではありません。前回報告した台北はこの事務所の仕事でした。台湾からの巨額の義援金を受けて「ありがとう台湾表敬訪問団」を募集したのです。メールで呼びかけると、67人が集まりました。台北集合、台北解散ですが、出発前日までのメールの交換や当日の参加確認など苦労も多かったのですが、学ぶことも多くありました。
メールの便利さや威力をあらためて実感できたのがその一つです。メールだけの交換で申込者全員、一人も欠けることなく参加しました。数回のメール交換だけで台北まで一人でやってくるのはきっと心細かったでしょう。「騙されてるんじゃないの」と家族に言われながら日本を発った人もいます。面識のないままにメールだけで信頼関係を築く、そのためには相手の立場や状況を想像できる力が必要だ、そんなことも学びました。
参加される方の意気込みには圧倒されました。北は北海道から南は九州まで、さらにはパリやニュージーランドからも台北に集まりました。パリからの若い女性は、お金を大震災への義援金にするか、この表敬訪問に使うか迷ったそうです。気仙沼から参加された方のメールには「私は被災地に在住しており、台湾への感謝を募らせながら生活しております」とありました。台湾に感謝している、というたくさんのメールが、ときには1日60通以上も事務所に届いたのですが、そんな思いを行動に移した人は少ないようです。思うこととと行動することの間には大きな隔たりがあり、それを越えるためにはそれなりの意気込みが必要なことをあらためて学びました。
多くの人を引率するような場面もありましたが、初めての体験で戸惑いや失敗がありました。バス2台での移動で、人数確認がうまくできず、一人ぐらい途中でおいてきたかもしれない、とヒヤヒヤしたこともあります。また参加者確認に気を取られて、表敬訪問先へのお土産をホテルに置き忘れたこともありました。こういうときには、できることとできないことを見極めて、できないところには人を手当てする、そんなことの大切さも学びました。
今回の訪問団は事務所のボスの思いから始まっています。ボスは、訪問先との日程調整で何回も電話したり、参加人数が思いのほか増え、もう1台のバスを急きょ確保したり、本来の仕事で多忙を極めている中で頑張りました。かなりのお金と時間も持ち出しています。どうしてそこまでやるのか、と思うほどです。この高い実行力を間近で見て感じることができた、これが最大の学びだったかもしれません。この歳になって多くを学べるとは幸せなことです。