桜の開花がいつなのか毎日のようにチェックしていました。旅行日程が決まっているので、できれば見ごろ、せめて少しでもいいから咲いててほしいとの思いからです。ところが、ところが、当日になってみると、五分咲きか満開という桜の最も美しい日々、そんな最高の見ごろは数日しかありません。稀な幸運に恵まれた旅だったと言えます。
今月初旬の金沢城兼六園、下旬の角館武家屋敷と弘前城への旅、いづれも屈指の桜の名所、桜の時期に一度は訪れたいと誰もが思うのではないでしょうか。そんな思いが、最高の形で実現したのです。金沢も角館も抜けるような青空を背景にした桜、弘前は時々降る小雨のなかでの桜、いづれも美しく、大満足でした。
何百本、何千本と咲く様は実に見事です。特に、日本三大桜名所のひとつである弘前城には約2千6百本もの桜があり、こじんまりした優しいお城のいたるところで競うように美しく咲き誇っています。この地の人々が、100年以上前に植樹し、世話をし、楽しんできました。雪国の人々の思いがこもった、控えめだが美しい、春の訪れを告げる桜なのです。
金沢は毎年恒例の会社の同期会でした。1年ぶりの再会ですが、相変わらず気の置けない愉しい仲間です。金沢城近くの宿だったので、みんなで夜桜見物に出かけ、日本三名園である兼六園で、夜桜だけでなく、霞ヶ池の徽軫灯籠や眼下に広がる市内の夜景などをみんなで賑やかに楽しみました。
角館と弘前は、昨年10月に会津若松に車で出かけた友人夫妻と一緒でした。昨年、車で行こうとしたのですが、東京から700キロほどあるので、運転を苦と思わない友人でも、さすがに車はあきらめて新幹線とレンタカーとなりました。角館の桜はまだつぼみのところもありましたが、有名な樺細工伝承館前のしだれ桜は満開で、4人でババヘラアイスを食べながら花見を楽しんでいます。弘前は小雨模様でしたが、その素晴らしさに4人とも大喜び、お堀沿いの桜のトンネルを、はしゃぎまわりたい楽しい気分で散策しました。
新幹線角館駅でレンタカーを借りて、角館でお花見、「NIKKEIプラス1 何でもランキング」の「大自然につかる絶景風景」で全国1位となった黄金崎不老ふ死温泉の、岩礁にある露天風呂から夕陽の絶景を眺め、高山稲荷神社で赤い鳥居のトンネルをくぐり、竜飛岬で北海道を望み、川倉賽の河原地蔵尊で子を亡くした親の悲しみを思い、太宰治記念館「斜陽館」で、2,250俵もの米俵が納まる米蔵を持つ広大な豪邸を見物し、吉永小百合さんのJR広告で有名になった鶴の舞橋で広告と同じ構図で写真を撮り、村を守る鬼が鳥居などに鎮座する神社のいくつかを訪ね、弘前城でお花見をするという、盛りだくさんの旅行、4人でわいわいがやがや、運転手さん1人が大変でしたが、津軽の春を堪能しました。
桜あり、名所あり、歴史あり、恵まれたと言える天候あり、金沢の銘菓や海の幸あり、津軽の海の幸山の幸あり、そして友人ありの、何拍子も揃った、記憶に残る旅でした。いろいろなことに、感謝、感謝です。