長野の小布施に「朱雀」という大人気のモンブランケーキがあると聞き出かけました。作りたてを提供するため、朝8時半から朱雀券(整理券)を売り出し、9時半から給仕を始めます。
朝8時25分に我々夫婦が着いたときにはすでに長い行列ができていて、並んだ後にも続々と人々がやって来ます。1日限定400個なので少し心配になるほどの行列でした。結局我々は200人目前後で、11時30分からの整理券を無事購入することができました。
小布施といえば栗、それをふんだんに使ったケーキを、大きな古民家で、庭を眺めながらいただきます。確かに、栗の美味しさが存分に味わえる逸品でした。なにしろ、このために北陸新幹線で出かけ、長野駅前で前泊したのですから。でも、月曜日だというのに受付間もなくで売り切れてしまう人気ぶりには本当にびっくりしました。
お昼近くになると町は観光客で溢れてきます。観光バスで大挙して押し寄せて来るのです。栗やリンゴで作る美味しいスイ―ツ、北斎館などの美術館、蔵などがある古い町の景観、民家の丹精込めた庭を通る小路、などで人気のようです。そんな町をぶらぶらしながら食べ歩いた焼栗や栗ソフトはとても美味しく、自慢の栗を食べてもらおうと工夫を凝らす町の人々の心意気を感じることができました。
長野駅前のホテルで2泊、着いた日は長野市内の善光寺や東山魁夷美術館を訪れ、夜は妙高高原にあるギネス認定の世界一の壮大なイルミネーションを楽しみ、2日目は小布施での食べ歩きと蔵の町・須坂の見物、3日目は戸隠神社の奥社から鏡池そして中社と散策して戸隠そばをいただきました。黄金色の田んぼや色づいたリンゴの木々、爽やかな妙高高原からの明るくて大きな中秋の名月、少し紅葉し始めた戸隠神社周辺の山々、などなど、味覚だけでなく景色でも秋を楽しんでいます。
モンブラン「朱雀」を食べたい、との妻の一言から始まった今回の旅、観光は「おまけ」という、我々夫婦としてはちょっと変わった、贅沢とも言える旅でした。勤務先の事務所のボスによると「色々な条件が揃わないとできない旅よ」とのこと。確かに、二人の好みや価値観がある程度一致し、共に健康で、時間があって、そこそこのお金もある、といったいくつかの条件が必要でしょう。今だからこそできるのかもしれない旅、一つひとつを大切にして、楽しみたいと思います。