暮し

No.022:江戸庶民の色彩感覚

 江戸時代の色彩は、とても自然で穏やかなものだったようです。昨年「NHKスペシャル 歌麿 紫の謎」で浮世絵にかける歌麿の徹底したこだわりを知りました。放送は、ボストン美術館で封印され、100年近くものあいだ光が当たることなく保存されていた浮世絵、スポルディングコレクション、そのデジタル化映像によって新たな真実が浮かび上がってきた、というとても興味深い内容でした。

 摺りたてともいえる浮世絵からは江戸時代の生きいきとした断片が見えるにちがいない、と考えぜひ観てみたいと思っていたのです。今月、それが実現しました。高度なデジタル映像技術と印刷技術によって、色彩はもとより、その質感までをも再現した印刷物が出版されたのです。

江戸庶民の色彩感覚
スポルディングコレクションが我が家に

 歌麿の浮世絵8点セットで、早速手にいれてじっくりながめてみました。歌麿が作り上げた色彩は、日本の自然にも似た、落ち着きのある、穏やかなものでした。現代の出版物には強い主張の色があふれていますが、やや控え目なこの色こそが日本人本来の色彩感覚のような気がします。観ていて、落着く、飽きのこない色合いなのです。自然と共にあるつつましい当時の暮らしぶりが感じられます。人びとが好んだであろうこの色合いを、歌麿は苦労して作り上げたのでしょう。

 歌麿が特にこだわった紫、民衆が憧れた紫、8点セットには内容によって微妙に異なった紫が使われています。現代に残る浮世絵のほとんどからは変色し失われている紫、それが残っているスポルディングコレクションは貴重な歴史遺産でしょう。それが、高度な印刷技術によって再現され、我が家にもやってきたのです。色彩だけでなく、描かれた内容からも多くの物語を想像させてくれます。浮世絵に人生をかけた歌麿とそれを楽しんだ人びとの姿を思いながら、大いに楽しませてもらうこととします。

 江戸時代はわたしの憧れでもあります。ゆったりとした時間、穏やかな暮らし、物質的には貧しくても心は豊かな時代、そんなふうに考えているからです。そんな勝手な想像を、この浮世絵はさらに掻き立ててくれます。8点を順番に飾って、ながめて、想像して、楽しむことができそうです。手元に置くことで、これからの楽しみがまた一つ増えました。

の記事

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

 「授業中もぼんやりしていることが多い」とか、「教科書を忘れて来る」、「えんぴつも持たずに登校する」とかを小学校の通信簿連絡欄に書かれていた私ですが、中学に入ってからは少しまともになりました。

No.198:睡眠は改善したものの・・・ (2023年07月31日)

 スマートウォッチによる睡眠の質が「良し」となる「睡眠スコア80以上」の日が続いています。記録し始めた昨年7月から、30日移動平均が75から80の間で上下していましたが、今年6月から80超えで安定し、現在82超えとなっています。ですから免疫力には少々自信があったのですが、7月に帯状疱疹になってしまいました。年金生活者にとって、健康維持は大切なお仕事、お務めのようなものですが、いろいろ努力しても歳には勝てない、ということなのかもしれません。

No.197:帯状疱疹になりました (2023年06月30日)

 痛みが一日中治まらず、夜眠れずに痛み止めを飲みました。原因は帯状疱疹だったのですが、痛み出してから1週間ほど経って首に発疹が出て初めて分かったのです。眠れないほどの痛みは数日でしたが、一日中の痛みは3週間ほど続き、その後も若干の痛みが1週間ほど続きました。

No.193:睡眠スコアその後 (2023年02月28日)

 今月、スマートウォッチの睡眠スコアが63になった日がありました。89~80が「(睡眠の質が)良い」で、79~60は「やや低い」、59~は「低い」なので、「低い」に近いスコアです。気のせいかもしれませんが、スコアが高いと体調が良いし、低いと寝不足感があります。

No.187:睡眠スコア (2022年08月31日)

 睡眠の質が「良い」の睡眠スコア80を越える日が増えました。睡眠スコアはスマートウォッチを着けて寝ることで測定します。今月前半2週間では、80を超えたのが2日、平均74.6でした。それが、後半2週間では80越えが6日あり、平均80.3と、平均で5.7ポイント上がりました。前半2週間は暑さのため昼間のウォーキングをやめており、後半2週間は、ジムマシンでの屋内昼間ウォーキングを始めています。運動量の違いが、睡眠の質の違いになった、ということだと思います。

No.183:帝国ホテル特製フレンチトースト (2022年04月30日)

 京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。

No.182:マンションの売却 (2022年03月31日)

 貸していたマンションを売却しました。入院中の長兄が自宅を売ろうとしたのですが、そのうち物事の判断ができなくなり、売るに売れない状況になりました。家が売れたのは長兄が亡くなってからです。そんなことがあって、80歳までには売却しておきたいと考えていました。

No.181:勤務先は帝国ホテル (2022年02月28日)

 事務所のボスが事務所兼自宅を売却して新しいマンションを購入しました。マンション完成まで2年弱あるので、それまでを帝国ホテル東京で過ごすと決め、昨年の12月からホテルに住んでいます。このため、私の勤務先が帝国ホテルとなり、それまで歩いていた自宅から新宿が、自宅から内幸町となりました。

No.175:囲碁三昧の日々 (2021年08月31日)

 「何で(事務所に)来ないの!!」と事務所のボスに責められぎみです。事務所への往きは歩きなので、感染の危険は渋谷スクランブル交差点付近ぐらいですが、帰りは電車なので、小さいとはいえ感染リスクがあります。感染力の強いデルタ株で感染が爆発しており、どこに感染者がいるか分かりません。それに、感染したら自宅療養、という切迫した医療状況なので、避けることができるリスクは避けるべきでしょう。

No.174:月を眺めるひととき (2021年07月31日)

よく出会う80代と思われるお二人、ご夫婦に違いなく、女性は杖代わりのように男性の腕をつかんでゆっくりゆっくり歩いています。お二人に出会うのは夕食後の妻との散歩のとき、我々の10年後を想像してしまいます。どちらかを杖代わりにして散歩しているでしょうか。お二人の歩きはおそらく健康のためでしょう、敬意をもって見つめています。


タイトルとURLをコピーしました