「川の水も奇麗な様子で驚いた」そんなメールが京都に住む友人から届きました。かれの息子さんが、川崎にあるわたしの家から3kmほど離れたところに住むこととなったので、その周辺の写真を送ったのです。「川崎」という地名が必ずしも良いイメージではない様子がメールからうかがえます。京都郊外の西山、小高い緑の山々、そのふもとで生まれ育った息子さんが安心して住める所なのか、親としては気がかりなことでしょう。
川崎の悪いイメージといえば、公害裁判にみられる大気汚染があります。大気汚染源が工場から自動車へと変わってきているので、川崎だけではなく、大阪・西淀、尼崎、名古屋、東京などでも同様の裁判が発生しています。1998年の川崎公害訴訟判決では「12時間あたり1万台(約4.3秒に1台)以上走行する道路」から50m範囲が公害救済範囲とみなされました。大量の車の走るところに大気汚染ありなのです。
川崎市議会議員いのまた美恵氏(59)ホームページのコラム「北部に増える子供の喘息(2005年7月)」によると、川崎北部での小学生喘息罹患率が3年ぐらい前(2002年ぐらい)から急増(多摩区A小学校では4年間で、14.5%から17.2%となり川崎市ワースト1位へ)しているそうです。「幹線道路が交差する周辺で地形がやや低い所、そしてゴミ焼却場の風下にあたる高台などで罹患率が高くなっているように思う」と氏は分析しています。「大気汚染測定かわさき連絡会・発足のつどい」ホームページにある2006年12月度の大気汚染測定1kmメッシュを見てもその傾向がうかがえます。この測定では幹線道路が多摩川を渡る橋のたもとでも高い汚染度を示しています。
散歩中、幹線道路沿いで台地が迫って壁となっている場所や、多摩川に架かる橋のたもとなどで空気の汚れを感じることがありますが、気のせいではなかったようです。できるだけ幹線道路から離れた道を歩いているのですが、台地が迫るような場所や橋では幹線道路を歩かざるを得ないのです。
友人が言うように、川の水は綺麗になりました。多摩川にはアユが戻っています。同じように、大気汚染も早くなくなってほしいものです。ハイブリッドカーがその決め手になるのでしょうか。友人の息子さんが住むアパートは、わが家同様に幹線道路からはかなり離れており、それが少しは救いです。
京都西山よりも優れている点は、便利さでしょう。買い物、遊び、仕事に便利だし、レストランや病院もたくさんあります。息子さんにとってはそのメリットのほうが大きいにちがいありません。わたしはそうです。10月28日のasahi.com「都市部の人は『よく歩き、肥満も少ない』食育白書」によると、成人男性の1日の平均歩行数は神奈川県が8,371.5歩で全国1位、全国平均よりも846歩多いそうです。ちなみに2位が兵庫で8,281.2歩、3位が東京で8,237.8歩でした。地方での歩数の少なさ、そして肥満が目立つようで、それは車の利用が多いからだ、と分析されています。交通の便が良く、車なしでも移動できる都市部には、歩くというメリットもあるのです。