これは白色申告です、と言われてびっくりしました。生れて初めて行った税務署の確定申告相談でのことです。白色申告など知らず、唯一知っていた青色申告だとばかり勝手に思い込んでいました。知識の無さに唖然とするばかりです。
いままで全て妻任せでしたから当然かもしれませんが。そんな状況で、自宅を貸して得ている不動産所得関連で訊きたいことがあり出かけたのです。結果、壁紙の張替などで経費が掛かった昨年分はさほどではないのですが、今年分からはそこそこの税額となります。納税は国民の義務、この歳で額が増えるのはありがたいこと、なのかもしれませんが、でも出て行くお金は少ないほうが嬉しいに決まっています。
個人事業主となって青色申告すれば特別控除があり、不動産所得からも控除されるので税金が少なくなる、と教えてくれたのは40年以上も付き合っている、かつての会社の同僚でした。自由が丘のフレンチレストランで夫婦4人で昼食を楽しんでいたときのことです。同じサラリーマンだった彼が税に詳しいなんて、初めて知りました。しかも簿記2級だとのこと、長い付き合いですが、考えてみたら税金の話などお互いしたことがなかったかもしれません。昔から何かと頼りになる友人でしたが、いまでもこうして貴重な助言をしてくれる、持つべきものは友です。
そこで早速「青色申告承認申請書」と「開業届」を税務署に提出しました。これで長年の白色申告を卒業して、来年からは晴れて青色申告です。開業したのは得意のインターネット関連、同じ町の高校のクラブから頼まれているホームページ制作を個人事業として申請しました。まあ、最終的に事業として認めてもらえるか否かの不安はあるのですが、とりあえず開業です。問題は「複式簿記」、これが必須となります。小遣帳のような単式簿記も付けたことがない者がいきなり複式簿記です。でも意欲満々、お金がからむと強い、インターネットで勉強し、無料簿記ソフトをダウンロードして、とにかく記帳をスタートしました。
簿記もやり始めると結構面白い。分からないことの答えをインターネットで見つけたり、自分自身で考えついたりしたときには嬉しいものです。まだまだ見よう見まねで表面的な理解でしかありませんが、先人の多くの知恵が詰まっている、奥深そうな複式簿記ですからやりがいがあります。もう50年来になろうという別の友人が公認会計士目ざして勉強していますが、何が面白くて会計なんか、と冷ややかに見ていましたが、そのうち彼の気持ちが分かるかもしれません。
この歳で新しいことにチャレンジする、それは楽しいこと、欲がらみとはいえ、いや、欲がらみだからこそ頑張れる、面白い、ということでしょう。趣味がひとつ増えた気分です。