京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。
痩せているので薄着になると貧弱で、猫背気味なのでみすぼらしくもあります。4時間弱歩いて帝国ホテルに着く頃は結構疲れていて、情けない姿に見えているかもしれません。でもホテルに入れば、精いっぱいシャキッとするようにしています。話したこともないスタッフに名前で呼ばれるなど、スタッフ間連携がしっかりしていて油断できません。
夏になると汗びっしょりでホテルに入ることになるので、さすがの私も今からちょっと気になります。「(ホテルの)後ろにある入口から入ったら」と妻に言われそうです。ボスはホテルスタッフに知れ渡っており、その関係者として私が認識されていると思うので、ボスの名前に傷がつかないようにしなくてはなりません。
そのボス、相変わらず快適なホテル生活を送っています。お菓子を買い込んで、お世話になっているホテルスタッフに、美味しいから食べて、と配ったりしています。台湾の大きな茶業で、大勢の雇人たちと暮らした子供の頃に育まれた感性や流儀が、米寿となっても、帝国ホテルであっても、脈々と生きているのでしょう。お世話になっている人たちを大切する、という人となりなのです。
私が行く日の朝食にはフレンチトーストが追加注文されていて、それを私がお昼にいただきます。ボス好みにアレンジされたフレンチトーストで、卵や牛乳などに一晩漬け込んだ、とても柔らかなトーストです。「料理方法を(帝国ホテルに)指導したの」とのこと、確かに美味しく、しかもルームサービスなので、リッチな気分にもなります。
帝国ホテル特製のフレンチトーストを楽しみにしながらの出勤となっています。