大好きな枝豆、このところ毎日食べています。ご近所、といっても1.5kmほど歩くのですが、そこに畑があって65歳前後のおやじさんが一人で野菜を作っていて、お願いすればその場で採ってくれます。おやじさんが畑仕事をしているときしか頼めないのが難点でしたが、最近は朝いるときが多いのでせっせと枝豆やトマト、キュウリ、ナスなどを買って帰る機会が増えました。
美味しい枝豆です。採れたて新鮮、ということもあるのでしょうが、飲み屋や食堂で出てくる味のない枝豆とは大違い、野菜の旨みがあるというか、甘味があります。昨年、兄の一家が来たときに出したら、美味しい美味しいと大好評、食いしん坊の兄貴を喜ばすことができて鼻高々でした。先日事務所に持って行ったときも、自他ともに認めるグルメの同僚が、枝豆が好きで時々買うけどこんなに立派で美味しいのはなかなかない、と嬉しそうでした。枝豆ひとつでみんなが喜ぶのであれば、往復3kmほどの道のりもなんのそのです。
畑は、40から50戸ほどのマンションは建つであろう1,500㎡ほどの広さで、枝豆エリアは6分の1ほどでしょうか。妻と二人での夕食後の散歩のときにも通るのですが、たくさんあった枝豆が日々どんどん抜かれていきます。おやじさんをつかまえることができた朝に訊いてみると、1人3束とか6束とか買っていく人もいるし、15束も頼まれるときもある、町会で使うらしい、とやはり大好評なのです。
おやじさんと話をしていると、ご近所のおばさん方が集まってきます。逆に、おばさん方がいるので、お!今日はおやじさんがいるな、と遠くから分かるときもあります。なかには、やって来るなりいきなり畑の中に入って行って、一周してから「今日はナスのいいのがないわね」などと、まるで自分の畑のように振舞う人もいます。おやじさんの家は畑に隣接しているので、家に押しかけて行って、おやじさんを畑に引っ張り出して買っていく人もいます。まあ、たまたま居合わせた私はラッキーでしたが。まだ小さいネギを、自宅に植えて大きくするから、と半ば強引に引っこ抜いていく人もいます。まるでご近所共有畑のよう、おやじさんの気のいいというか、鷹揚な人柄ゆえなのでしょう。古くからの農家で、アパート経営などもやっていて、趣味とまでは言わないまでも、あまり商売っ気はありません。
先日、珍しく若い男性が買っていました。子どもがいるので安心できる野菜を食べさせてあげたくて時々買いに来る、とのこと。おやじさんの人柄からも間違いなく安心野菜だし、ご近所がいつも注目していて、そろそろネギが食べごろね、と言われるような畑ですから下手なことはできません。安心、美味しい、安い、と三拍子そろった、我家の貴重な直売畑です。夜、妻との散歩で通るたびに野菜のでき具合、減り具合を二人でチェックしています。まるで我家の畑のように、キュウリが採りごろだね、枝豆が大きくなってきたね、とか言いながら。
おやじさんは13代目、江戸時代から続いている農家だそうです。息子さんたちは会社員となり継ぐ人はいない様子、そうであれば、おやじさんにいつまでも元気で頑張ってほしいと願うばかりです。我家の豊かな食卓のためにも。