特上のうな重4,000円、これが昼食、老舗のうなぎ屋さんから取り寄せたお重の大きさは普通、いやむしろ小さめともいえます。でも、厚い肉、脂のほどよいのり具合、とろけるような柔らかさ、秘伝とおもわれるたれの味、まさに極上品です。週2日働いている事務所のボスのおごり、ここではいろいろと美味しい思いをしています。
先月までは台湾料理のシェフが昼食を作ってくれていたのですが、台湾料理店を開くこととなり今月から来なくなりました。そこで料理は主にボス、これがシェフ以上に美味しい。うな重のような出前は、その日のスタッフがたまたまわたしだけのとき、他のスタッフがいるときには頼みません。それは公言しているのでみんなも知っています。ホームページやメールの処理で家でも働いているのを知っているからこその特別待遇です。他のスタッフがうな重の話を聞きつけて、とても羨ましそうでした。
みんながそろっているときのボスの料理は台湾の家庭料理、栄養、ボリュームたっぷりで、飽きるのことない味付けです。先日は具が盛り沢山のスープ、前日から煮込んで柔らかくなった牛のすね肉、北海道から届いたばかりのジャガイモ、大切りのニンジン、とけた玉ねぎ、トマト、味付けは塩だけ、たくさんの肉や野菜から生まれる絶妙な味、栄養満点で、体も心も暖まる特製スープ、食べることに強いこだわりを持つボスならではです。
前日に浅草今半新宿店まで牛肉を買い出しに行き、長時間煮込んで、翌日にスタッフに振る舞います。前々日は飛騨高山からの夜遅い帰り、その前の2日間は大阪・枚方と浜松で、4日ぶりの帰宅でも休む暇なく買い出し、料理、それに原稿を仕上げて、翌日スタッフと昼食をとったあとは雑誌の取材を受け、夜はあるシンクタンクの総会に出席、とても76歳の後期高齢者とは思えません。自分が後期高齢者となったとき、こんなに元気でいられたらいいなぁ、という思いでいつも見ています。
そんなボスの元気が詰まった料理は、先月までのシェフの料理よりも確実に美味しい、だいたい材料が違います。美味しいもののためにはお金を惜しまないボス、自分のお金でもないのに節約志向のシェフ、サンマが高いとき、1匹400円近かったころですが、サンマは100円というのが頭から離れず人数分をどうしても買うことができないで、自分1人サンマを我慢したシェフ、同じ台湾出身の二人ですがあまりにも対照的です。ついていくならば当然ボス、次のシェフは、と当初は思ったものの、最近はどうかこのままで、と願っています。何しろときどきは特上うな重が食べれることもあって。