夫婦二人だけでの国内観光、宿泊する旅は何十年かぶりです。勤務先事務所のボスがハワイ旅行で、ボスの居ぬ間にどこかへ行こうと、最初はイタリアでしたが参加人数が少なくツアー成立せず、慌ててトルコツアーに申込みましたが、今度は事務所以外の仕事が入りキャンセル、その後仕事がキャンセルとなってしまい、結局落ち着いたのが東北旅行でした。JR1日乗り放題で2,300円「青春18きっぷ」の旅は、ゆったりとした行程と美味しい食事でとても楽しいものとなりました。
川崎の自宅最寄り駅を朝6時15分に乗車、普通列車を乗り継ぎ6時間8分かけて喜多方へ、会津若松で1泊、仙台で2泊、仙台から6時間34分で自宅最寄駅に戻りました。上りと下りが別通路のさざえ堂、日本三景松島の島めぐり、1015段の階段を上る山寺など、福島、宮城、山形の3県を巡り、喜多方ラーメン、会津わっぱ飯、塩釜の寿司、山形のだしそばなど、地元ご自慢の料理をいただきました。宮城の牛タンは店頭試食で済ませましたが。時間に縛られないゆるゆるの旅、二人のペースで、観光も食べ物もしっかり満喫できました。
毎日快晴、強い日差しがじりじりと照りつける中、大汗をかきながらの、夏らしい観光です。仙台の真夏日が、統計が残る80年間で最多となった日、「閑(しずか)さや岩にしみいる蝉(せみ)の声」の芭蕉の句で有名な山形の山寺で1,000段以上の階段を上ったときには二人ともびっしょりの汗、それだけに上りきったときの景色の素晴らしさ、風の爽やかさは格別でした。参拝者も少なくはありません。昼は暑くても、夜は結構気温が下がるので、東京のような寝苦しさはない様子、日本の夏は思ったよりは旅に優しいのです。
緑と青の風景も日本の夏ならではでしょう。仙台から山形の山寺に向かう仙山線、山間部を右へ左へとくねくね進みます。遠くの山々は淡い青、近くの山は力強い緑、電車に日陰を提供している間近の木々は深緑です。会津若松から郡山に向かう磐越西線、会津盆地をのどかに進みます。手塩にかけた稲が一面に広がり、輝く草色の絨毯、その向こうには青緑の磐梯山が立ちはだかります。船で島々を巡る松島、空は輝くような青、海はまさに紺碧、島々の岩肌は白く、そこに生える松は濃い緑でした。それぞれに素晴らしい風景、ゆっくりの旅だからこそ堪能できた日本の夏です。
我々のような在来線普通列車の旅人を結構見かけました。帰りは仙台から川崎まで3回乗り継ぎましたが、車内のほとんどの人が同じ列車に乗り継ぎ、東京まで一緒だった人も何人かいます。時間のある人にしか許されない、考えようによっては贅沢な旅です。新幹線を使わずに節約できたお金で妻がバッグを買いました。大きなアウトレットに隣接するホテルを手配した妻の作戦勝ちです。