暮し

No.033:天地人

恵まれたアメリカ生活
叔母が保管していた26通の絵葉書

 叔母が大切にとっておいてくれた26通の絵葉書、アメリカ駐在中に旅行先からわたしが送ったものです。丁寧な保管状況からは、葉書が届くたびに目を細めて読んでいる叔母の姿が想像できます。駐在3年半で26通、だいたい1ヶ月半に1通という頻度、多い時には毎月のように旅行していたことを思い出しました。残業や休日出勤はなし、休暇は1週間から2週間、それが当たり前、という時間に恵まれた暮らしのなかで旅行に精がでるのは当然だったのかもしれません。

 住いにも恵まれ、会社まで車で15分、芝生に囲まれ、ときどきウサギやリスが遊びに来るという環境でした。自分の時間と住いに恵まれたこの生活は帰国と同時に失われました。当然と思う半面、少しでも取り戻したいという思いは常にあり、帰国して半年後に職場全体が移動し、新幹線通勤を余儀なくされて1年半後、都内の広告代理店に移りました。

 アメリカでの駐在経験は、わたしの人生観を変え、帰国後の人生を変えました。恵まれた生活を体験したというだけでなく、アメリカ人のライフスタイルや考え方を見つめるなかで、会社最優先の考え方も変わりました。それまでは会社への忠誠心も依存心も高い、典型的な会社人間でした。それが一定の距離を置いて会社を見るようになったのです。仕事は生きがいとなっても、会社は必ずしも生きがいとはならない、と。それが正常な姿だ、と考えるようになったのです。視野に入ってきた定年後の生活、そこでの生きがいを考える時期だったこともあります。若いときであれば会社を移ることはなかったでしょう。

 広告代理店での仕事は快適でした。忙しさは移る前以上のときもありましたが、少人数で完結する仕事で、自分の能力で給料を得ているという実感と、会社には従属していないという気概を持つことができ、また、いままでのしがらみが全く無く、自分自身の考えで自由に行動することができました。ここでの仕事は世の中と直結しており、自分の能力のうちの何を強化したら世の中の役に立つのか、言いかえると何がお金になるのか、ということを考えるようにもなりました。以前であれば「世の中の役に立つ」ではなく「会社の役に立つ」ということであり、そこには内向きの視野の狭さがあったように思います。

 自分の能力を磨くために学校にも通い、そこでの仲間もでき、それが新しい仕事を得るきっかけともなりました。その仕事は更に快適で、広告代理店の仕事も続いていますが、軸足は新しいその仕事に移ろうとしています。天地人というのは、天の時、地の利、人の和、だそうです。大胆にリスクをとることができる定年前後の時、働く場や学ぶ場の多い東京の地の利、学校などで広がる人との輪と和、アメリカからの帰国以降のそんな状況をこれからも大切に生かしていきたいと考えています。

の記事

No.214:80歳の壁 (2024年11月30日)

 会社仲間の集い、あわら温泉での宴の翌日、車3台で観光に出かけました。一緒に宿を出たのですが、内1台が集合場所に現れません。電話で、「どこにいるの?」と尋ねると、「第1駐車場」との答、ここの駐車場は1つ、第1も、第2もありません。結局、「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」集合を「一乗谷朝倉氏遺跡」集合と思い込んでいたようです。事前に決めた行程が狂い、「行程表を見ていない」と、幹事は少々お怒りでした。

No.207:睡眠スコアその後のその後 (2024年04月30日)

 大谷翔平さんは睡眠を大切にしていて、遠征に寝具を持ち込んだり、日々の睡眠データを計測しているそうです。超ビッグな大谷さんを引き合いに出すのはおこがましいのですが、私も睡眠データを計測しています。私のデータは、睡眠の質を示すスマートウォッチの睡眠スコアです。それが、30日移動平均で、昨年7月28日の、100点満点中83をピークに、どんどん低下し、今年3月19日には70にまで下がってしまいました。

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

 「授業中もぼんやりしていることが多い」とか、「教科書を忘れて来る」、「えんぴつも持たずに登校する」とかを小学校の通信簿連絡欄に書かれていた私ですが、中学に入ってからは少しまともになりました。

No.198:睡眠は改善したものの・・・ (2023年07月31日)

 スマートウォッチによる睡眠の質が「良し」となる「睡眠スコア80以上」の日が続いています。記録し始めた昨年7月から、30日移動平均が75から80の間で上下していましたが、今年6月から80超えで安定し、現在82超えとなっています。ですから免疫力には少々自信があったのですが、7月に帯状疱疹になってしまいました。年金生活者にとって、健康維持は大切なお仕事、お務めのようなものですが、いろいろ努力しても歳には勝てない、ということなのかもしれません。

No.197:帯状疱疹になりました (2023年06月30日)

 痛みが一日中治まらず、夜眠れずに痛み止めを飲みました。原因は帯状疱疹だったのですが、痛み出してから1週間ほど経って首に発疹が出て初めて分かったのです。眠れないほどの痛みは数日でしたが、一日中の痛みは3週間ほど続き、その後も若干の痛みが1週間ほど続きました。

No.193:睡眠スコアその後 (2023年02月28日)

 今月、スマートウォッチの睡眠スコアが63になった日がありました。89~80が「(睡眠の質が)良い」で、79~60は「やや低い」、59~は「低い」なので、「低い」に近いスコアです。気のせいかもしれませんが、スコアが高いと体調が良いし、低いと寝不足感があります。

No.187:睡眠スコア (2022年08月31日)

 睡眠の質が「良い」の睡眠スコア80を越える日が増えました。睡眠スコアはスマートウォッチを着けて寝ることで測定します。今月前半2週間では、80を超えたのが2日、平均74.6でした。それが、後半2週間では80越えが6日あり、平均80.3と、平均で5.7ポイント上がりました。前半2週間は暑さのため昼間のウォーキングをやめており、後半2週間は、ジムマシンでの屋内昼間ウォーキングを始めています。運動量の違いが、睡眠の質の違いになった、ということだと思います。

No.183:帝国ホテル特製フレンチトースト (2022年04月30日)

 京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。

No.182:マンションの売却 (2022年03月31日)

 貸していたマンションを売却しました。入院中の長兄が自宅を売ろうとしたのですが、そのうち物事の判断ができなくなり、売るに売れない状況になりました。家が売れたのは長兄が亡くなってからです。そんなことがあって、80歳までには売却しておきたいと考えていました。

No.181:勤務先は帝国ホテル (2022年02月28日)

 事務所のボスが事務所兼自宅を売却して新しいマンションを購入しました。マンション完成まで2年弱あるので、それまでを帝国ホテル東京で過ごすと決め、昨年の12月からホテルに住んでいます。このため、私の勤務先が帝国ホテルとなり、それまで歩いていた自宅から新宿が、自宅から内幸町となりました。


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