暮し

No.028:親のいないカルガモたち

 今年もカルガモが生まれました。12匹のカルガモっ子たちが、わたしの散歩コースにある遊歩道沿いの川で元気に泳ぎ回っています。わき目もふらずにひたすら歩くわたしでも、さすがに足が止まります。小さなカルガモたちが、一直線になって進む姿や、団子になって寝る姿は実に愛くるしく、見ていて飽きません。遊歩道を行きかうほとんどの人は立ち止まり、見守っています。


カルガモっ子

見守る親のいないカルガモっ子たち<写真にマウスを置くと拡大されます>

 初めて見たときです。近くに大人のカルガモが2羽いました。つがいのようです。例年であれば、子どもを見守る親は1羽、それはメスらしく、オスの姿はありません。2羽に違和感を感じてながめていたとき、1羽がカルガモっ子たちを突然攻撃し始めました。見ていた人たちから、「あれは親じゃないんだ」「子どもたちはベランダで生まれ、親は帰ってこないんだ」「かわいそうに」という声がきこえてきました。親無しっ子なのです。

 さほど執拗な攻撃ではなく、自分たちの領域に入ってきた親無しっ子たちへの威嚇のようですが、逃げ惑う小さなカルガモを見ると可哀そうで、大きなカルガモ憎しの感情が湧き起こってきます。それまでそのカルガモが占領して子どもたちを寄せつけなかった岩場に、2羽の子どもが隙をみて這い上がると、まわりの人たちから拍手がおきました。まるで、時代劇の弱い良民と強い悪代官を観ている気分です。帰りにこの場所を通ったときは、2羽の憎たらしい悪代官がいるだけで、12羽の可哀そうな良民の姿はありませんでした。


カルガモっ子

後を追うカルガモっ子たちから逃げるように飛び立つ大きなカルガモ<写真にマウスを置くと拡大されます>

 その数日後、カルガモっ子たちの元気な姿がありました。親はなくても子は育つ、みんなで岸についている何かを懸命に突いています。2羽の大きなカルガモもあきらめたのか威嚇はしません。逆に子どもたちが集団で後を追うと、わたしはおまえらの親じゃない、といわんばかりに逃げるように飛び立ってしまいます。カルガモっ子たちたくましく生きてるな、とほっとした気分で数を数えると11羽しかいません。他の人からも「1羽いない!」という声がきこえます。

 翌日も11羽でした。しかも1羽は右足をだらりと投げ出したまま、左足だけで、みんなから遅れながらも懸命に泳いでいます。何かに攻撃されたのかもしれません。見守る親のない子鴨たちの厳しい現実です。


カルガモっ子

増えた親無しっ子<写真にマウスを置くと拡大されます>

 その後、このカルガモっ子グループに別の親無しっ子たちが合流しました。一緒にいた親が3匹だけを連れて道向こうに行ったまま帰ってこないとのこと、親無しっ子どうしで生きていこうとしているようです。いつもの岩場は超満員となりました。

 数日後、岩場にブロックが置かれて広くなりました。おまけに、はい上がりやすいように、足場となる石が横に置かれています。無事に育ってほしい、と願いつつ川のなかにブロックや石を運んだのでしょう。とても嬉しくなりました。けなげなカルガモっ子たちとそれを暖かく見守る人びと、散歩で出会ったちょっとしたドラマです。

の記事

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

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No.198:睡眠は改善したものの・・・ (2023年07月31日)

 スマートウォッチによる睡眠の質が「良し」となる「睡眠スコア80以上」の日が続いています。記録し始めた昨年7月から、30日移動平均が75から80の間で上下していましたが、今年6月から80超えで安定し、現在82超えとなっています。ですから免疫力には少々自信があったのですが、7月に帯状疱疹になってしまいました。年金生活者にとって、健康維持は大切なお仕事、お務めのようなものですが、いろいろ努力しても歳には勝てない、ということなのかもしれません。

No.197:帯状疱疹になりました (2023年06月30日)

 痛みが一日中治まらず、夜眠れずに痛み止めを飲みました。原因は帯状疱疹だったのですが、痛み出してから1週間ほど経って首に発疹が出て初めて分かったのです。眠れないほどの痛みは数日でしたが、一日中の痛みは3週間ほど続き、その後も若干の痛みが1週間ほど続きました。

No.193:睡眠スコアその後 (2023年02月28日)

 今月、スマートウォッチの睡眠スコアが63になった日がありました。89~80が「(睡眠の質が)良い」で、79~60は「やや低い」、59~は「低い」なので、「低い」に近いスコアです。気のせいかもしれませんが、スコアが高いと体調が良いし、低いと寝不足感があります。

No.187:睡眠スコア (2022年08月31日)

 睡眠の質が「良い」の睡眠スコア80を越える日が増えました。睡眠スコアはスマートウォッチを着けて寝ることで測定します。今月前半2週間では、80を超えたのが2日、平均74.6でした。それが、後半2週間では80越えが6日あり、平均80.3と、平均で5.7ポイント上がりました。前半2週間は暑さのため昼間のウォーキングをやめており、後半2週間は、ジムマシンでの屋内昼間ウォーキングを始めています。運動量の違いが、睡眠の質の違いになった、ということだと思います。

No.183:帝国ホテル特製フレンチトースト (2022年04月30日)

 京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。

No.182:マンションの売却 (2022年03月31日)

 貸していたマンションを売却しました。入院中の長兄が自宅を売ろうとしたのですが、そのうち物事の判断ができなくなり、売るに売れない状況になりました。家が売れたのは長兄が亡くなってからです。そんなことがあって、80歳までには売却しておきたいと考えていました。

No.181:勤務先は帝国ホテル (2022年02月28日)

 事務所のボスが事務所兼自宅を売却して新しいマンションを購入しました。マンション完成まで2年弱あるので、それまでを帝国ホテル東京で過ごすと決め、昨年の12月からホテルに住んでいます。このため、私の勤務先が帝国ホテルとなり、それまで歩いていた自宅から新宿が、自宅から内幸町となりました。

No.175:囲碁三昧の日々 (2021年08月31日)

 「何で(事務所に)来ないの!!」と事務所のボスに責められぎみです。事務所への往きは歩きなので、感染の危険は渋谷スクランブル交差点付近ぐらいですが、帰りは電車なので、小さいとはいえ感染リスクがあります。感染力の強いデルタ株で感染が爆発しており、どこに感染者がいるか分かりません。それに、感染したら自宅療養、という切迫した医療状況なので、避けることができるリスクは避けるべきでしょう。

No.174:月を眺めるひととき (2021年07月31日)

よく出会う80代と思われるお二人、ご夫婦に違いなく、女性は杖代わりのように男性の腕をつかんでゆっくりゆっくり歩いています。お二人に出会うのは夕食後の妻との散歩のとき、我々の10年後を想像してしまいます。どちらかを杖代わりにして散歩しているでしょうか。お二人の歩きはおそらく健康のためでしょう、敬意をもって見つめています。


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