何十年ぶりかの再会でも、たちまち若いころの楽しさが蘇えってくる仲間がいます。白髪などが増えて外見が変わってきているように、さまざまな経験を経て中身も変わっているはずなのに、若いころの主客、強弱といった微妙な相互関係が会った瞬間から再現され、各自が一番居心地のよいポジションに収まって楽しい場となる、そんな感じです。久々の試合で、何の指示もないのに各自が守備位置に着いてそこをしっかり守る、全体として強固なチームワークを示す野球チームのようで、チームワークの良さが楽しさを更に大きくしてくれます。
同期入社仲間10人が還暦を機に集まりました。若いころ、飲み会、テニス、スキーなどで盛り上がった仲間で、全員が集合するのは25年ぶりです。テニス、スキーなどのコーチ役も駆けつけました。週末にはテニス、夏はテニス旅行、冬はスキー旅行、そんなことが入社後十年以上続いたのです。家族が増えたり、転勤などがあったりしてしだいに疎遠となりましたが、何でも言い合える気心の知れた心安らぐ仲間であることには変りありません。 若いころから馴染み深い京都嵯峨野での集合となりました。
話題は、子供、孫、仕事、趣味、病気と何でもありの言いたい放題、この仲間だからこその会話が弾みます。若いころを共にし、家族ぐるみでの付き合いにもなっている仲間だからこそです。あらゆることが無遠慮に、でも暖かく話題にあがります。表面的な話では終わらない、でも深追いをして傷つけることもない、そんな絶妙なバランスをみんなが心得ているのです。安心して何でも話ができる、心を裸にしてリラックスできる、そんな場には楽しさがあふれています。悲しみや苦しみを味わいながら今日まできたみんなだからこそ、優しさや包容力は若いころ以上なのかもしれません。
お互いがライバルで、刺激し合う関係は今でも変りません。昔は、昇進や結婚、家の購入などで刺激を受けましたが、今は、家族や趣味、健康などに聞き耳をたてます。同年輩で同じ会社、同じ職種、同じような家族構成で、あらゆることが他人事ではないのです。黄昏どきにもたとえられる還暦からの人生、景色は急激に変わっていくことでしょう。そんなときにこの仲間はお互いに知恵や励ましを与えるに違いありません。変化の激しかった若いときにそうであったように。
温泉旅館での深夜に及ぶ会話、翌日の嵯峨野散策での会話などが楽しく過ぎて、1年後の全員集合を決めて解散となりました。とても大切な仲間であることをあらためて確認できた全員集合でした。