旧正月を祝う長崎ランタンフェスティバルを見物してきました。旧正月のランタンフェスティバルといえば台湾、無数のランタンが夜空に舞い上がる風景が有名ですが、長崎も負けてはいません。無数の光るランタンが広場や通路の頭上にあり、人物や動物のオブジェや高さ10mにもなる大型オブジェが市内中心部のいたるところで輝いています。
4つの会場で数々のイベントが開催されており、龍踊りと中国変面ショーを観ました。龍踊りでは、迫力ある踊りだけでなく、会場を去っていく龍を、「もってこ~い、もってこ~い」と呼び戻す観客の掛け声と龍とのやりとりがユーモラスで楽しいものでした。変面ショーは、変面師のお面が一瞬にして変わるもので、その仕掛けは国家機密だそうです。大人気で、瞬時に顔が変わる、可愛い変面人形も売り出されていました。
昼間は、興福寺を訪ねました。海の守護神「媽祖(まそ)」を祀っています。唐からの船が着くと、その船に奉祀(ほうし)した媽姐の小像を、在泊中、この寺に安置したそうです。高台にあり、さらに目印の旗が上がっていて、船員たちは迷わず寺に向かうことができたことでしょう。ランタンフェスティバルでは、江戸時代のそのときの様子を再現した媽祖行列が執り行われます。中国・明との交易が始まった頃の元和六年(1620)にはすでにここに小庵が造られていた、とのことですから、当時の船乗りにとっていかに重要な寺だったかが分かります。
また、唐人屋敷跡も訪ねました。周囲を練塀や堀で囲まれた中国人居留地で、瓦葺き2階建ての長屋が20軒ほどあったそうです。鎖国時代、オランダ人居留地の出島とともに、日本で唯一の海外との接点でした。路地や空堀、明治時代に修復されたお堂などが残っていて、当時を偲ぶことができます。この二つの居留地から長崎へ、そして日本に広がった風習や食べ物はたくさんあります。ランタンフェスティバルや龍踊りも、そのルーツはこの唐人屋敷での風習だったそうです。
10年前に長崎に来たときは定番観光でしたが、今回は、長崎くんちの諏訪神社も参拝し、地元に密着した、ちょっとディープな観光となりました。10年前にも行った、ハウステンボスも訪れ、100万本のチューリップに囲まれて、春のオランダ気分を味わってきました。
地方の街並みや風習を見たり、感じたり、美味しいものを食べたり、と旅の楽しみは尽きません。平均健康寿命をすでに4年以上も過ぎてしまいました。せいぜい楽しまなくては、と思います。