九州・柳川の川下りを楽しみました。柳川は、有明海沿岸の干拓地、海抜0メートル地帯に築かれた城下町です。このため、人工の水路である掘割が網の目のように張り巡らされていて、その総延長は約930kmにも及びます。この掘割の一部を舟で巡ります。
水深が浅いため、底が平らな「どんこ舟」と呼ばれる小舟で進みます。船頭さんが竿一本で巧みに操り、舟とほぼ同じ横幅の水門をくぐったときは、「今日は一度も舟を水門に当てなかった。これが柳川の船頭の腕だ」と自慢していました。
少し大きな橋の下で、エコーの響く歌声を披露してくれたり、「Be careful スマホ ポッチャン」といった、思わず笑ってしまう和製英語を連発するなど、楽しく和やかな川下りでした。堀沿いを歩く猫よりもゆっくりと進む、1時間ほどの舟旅です。
掘割の水は、昭和の初め頃まで飲料水としても使われ、朝一番の澄み切った水を、大きな水瓶に汲み置いていたといいます。この町で育った詩人・北原白秋は、朝の汲水場で少女が水を汲む姿を、次のように詠んでいます。
ついかがむ乙の女童(おとめのわらわ)影揺れて
まだ寝起きらし朝の汲水場
2泊3日福岡泊の旅、柳川のほか、定番の太宰府天満宮にも足を運びました。本殿は124年ぶりの大改修中で、仮殿が建てられています。大阪・関西万博の会場デザインプロデューサーの藤本壮介氏設計による、屋根に森を配した仮殿で、3年越しの改修は今年6月ごろに終わる予定で、仮殿は解体されます。それまでに見ておきたいと思っていたのです。
今月は友人夫妻と河津町にも出かけ、満開の河津桜を楽しみました。さらに伊豆稲取の「雛のつるし飾りまつり」も見物。柳川の「さげもんめぐり」と合わせ、日本三大つるし飾りのうち二つを見ることができました。残る一つは山形・酒田の「傘福」です。
雛人形を飾れない家が、着物の端切れで小さな細工物を作り、糸で吊るして雛祭りを祝ったのが、稲取での始まりといわれています。女の子の健康と幸せを願う、一つひとつの愛らしい飾りは、いくら見ていても飽きることがありません。
日本全国、どこへ行っても見るべきものがあり、出かけるところは、まだまだ見つかりそうです。

