高さ12m・重さ50kgの46個の提灯を吊るした竿燈280本が大通り一杯に揺らめく秋田竿燈まつり、幅9m・奥行7m・高さ5m・重さ4tの巨大灯籠「ねぶた」が大通りを練り歩く青森ねぶた祭、5つの絢爛豪華な吹流しで飾られた長さ10mの笹3千本が商店街を埋め尽くす仙台七夕まつり、この東北三大祭に加えて、高さ23m・重さ19tの巨大な立佞武多がゆっくりと進む五所川原立佞武多、棟方志功も描いたことがある弘前ねぷた、を一気に見物しました。5泊6日の欲張り旅でした。
弘前ねぷたまつりこそ素朴な印象でしたが、その他はまさに、華やか、豪華、賑やか、な祭でした。秋田竿燈まつりでは、夜空に揺らめく黄金の稲穂、竿燈が大通りを埋め尽くす様も圧巻ですが、大きな竿燈を、片手、平手、額、肩、腰で操る妙技も見事です。観客席に倒れこむ竿燈も稀にあって、演技前に、「私は下手ですから(皆さん気を付けて)」とおどけて笑いをとっていた演技者もいました。
青森ねぶた祭では、祭の翌日から構想を練り、春の初めから顔や手足の制作が始まるという巨大ねぶた、感情を揺さぶる迫力がありました。青森生まれの棟方志功は、「ネプタが津軽そのものの姿である」と言っています。津軽の人々の喜び、悲しみ、驚きといった心の叫びが表現されている、ということなのでしょう。
大通りの両側の観客に向かい蛇行するねぶたに、「こっち来て、こっち」と大声を出すとぎりぎり近くまで来てくれます。後ろの若い男女3人がさかんに大声を掛けてねぶたを呼び込んでいました。静かに観ていただけの私よりも、何倍も楽しんだことでしょう。妻も手を出して跳人から団扇をもらっています。
仙台七夕まつりでは、長い商店街一杯に広がる笹飾りに圧倒されます。それぞれの商店が工夫を凝らし、手間をかけて丁寧に手作りしています。あるお店で、子どものころから家族会議で飾り付けを決めている、と話していました。一つ一つのお店の七夕への願いや祈りが込められているのです。
東北の短い夏を彩る祭は、華やかな中に、人々の願いと祈りが込められていました。欲張り旅で疲れましたが、行けるのは今のうち、なのかもしれないし、行って良かったと思っています。