暮し

No.157:食べ物の記憶


誕生祝の73個の無料餃子は鉄鍋2個で出てきた。<写真へのクリックで拡大できます>

 先月は誕生月だったので、歳の数だけの無料餃子でお祝いしてくれる店で、大学時代の友人たちと飲みました。73個と数が多いので「太田胃散を持参したほうがいいでしょうか?」と言う友人もいましたが、いざ飲みだすと、6人もいたからか、ペロリとたいらげてしまいました。みんな元気です。四方山話に話が弾み、楽しいひとときでした。

 大学時代、友人が我家に遊びに来たときに出た「トンカツが美味しかった」と一人が言うと、もう一人が「おれが行ったときはエビフライだった。美味しかった」と続けました。共に、お袋の得意料理で、親父の大好物です。トンカツは厚くて柔らかいヒレカツ、エビフライは特大のクルマエビ、我家での最高のおもてなしです。友人には、「我家のいつもの食事で、俺なんか『えぇ~、またエビフライなの』とか言ってたよ」と見え見えの見栄で笑いを誘いました。50年以上も昔のことなのに覚えているということは、かなり鮮烈な印象だったのでしょう。

 食べ物では、私も忘れられない思い出があります。中学生のとき、英語の先生からアルバイトを紹介され、出かけました。そこは、一般人は入れないアメリカ駐留軍の家族住宅地区、芝生に囲まれた家々が広大な土地の中に点在している、アメリカ映画さながらの風景でした。当時グラントハイツと言っていましたが、今は練馬区光が丘という住宅地となっています。家の周りに低い柵を立てる仕事でしたが、途中でサンドイッチが出されました。ハムが入っているだけのサンドイッチでしたが、そのハムが分厚くて柔らかくてジューシーで、それまでに食べたことのない美味しさだったのです。いまだに覚えています。

 もう一つは小学生のとき、初めて遊びに行った友人の家、ベッドがありました。家の中にベッドがあるなんて、不思議な風景でした。それに、いま思うに電気掃除機だったのでしょう、大きな音を立てる機械をお母様が操作していました。お金持ちの家だったに違いありません。そこでアイスクリームが出されました。アイスクリームと言えば「アイクスリームバー」しか知らず、しかも、それさえも私にとっては滅多に食べることができないものでした。バーとは違って、食器に盛られていて、バーのように純白ではなく、少し黄色みがかっています。おそらく手作りだったのでしょう。ミルキーで濃厚な味だったように記憶しています。

 食べ物の記憶は、食べ物そのものに対する強い印象と、それを食べたときの状況や風景の強い印象が相まって深く刻み込まれるのかもしれません。友人たちの記憶も、単にトンカツやエビフライといった食べ物だけでなく、私の家の印象も強かったのでしょうか。それは、消防署内にある広い公舎、上野駅近くで都会のど真ん中の家、浅草で育ったお袋の気さくなおもてなし、などだったのかもしれません。そう考えてみると、私も恵まれていた、とあらためて思います。食べ物の記憶は幸せの記憶なのです。

の記事

No.214:80歳の壁 (2024年11月30日)

 会社仲間の集い、あわら温泉での宴の翌日、車3台で観光に出かけました。一緒に宿を出たのですが、内1台が集合場所に現れません。電話で、「どこにいるの?」と尋ねると、「第1駐車場」との答、ここの駐車場は1つ、第1も、第2もありません。結局、「一乗谷朝倉氏遺跡博物館」集合を「一乗谷朝倉氏遺跡」集合と思い込んでいたようです。事前に決めた行程が狂い、「行程表を見ていない」と、幹事は少々お怒りでした。

No.207:睡眠スコアその後のその後 (2024年04月30日)

 大谷翔平さんは睡眠を大切にしていて、遠征に寝具を持ち込んだり、日々の睡眠データを計測しているそうです。超ビッグな大谷さんを引き合いに出すのはおこがましいのですが、私も睡眠データを計測しています。私のデータは、睡眠の質を示すスマートウォッチの睡眠スコアです。それが、30日移動平均で、昨年7月28日の、100点満点中83をピークに、どんどん低下し、今年3月19日には70にまで下がってしまいました。

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

 「授業中もぼんやりしていることが多い」とか、「教科書を忘れて来る」、「えんぴつも持たずに登校する」とかを小学校の通信簿連絡欄に書かれていた私ですが、中学に入ってからは少しまともになりました。

No.198:睡眠は改善したものの・・・ (2023年07月31日)

 スマートウォッチによる睡眠の質が「良し」となる「睡眠スコア80以上」の日が続いています。記録し始めた昨年7月から、30日移動平均が75から80の間で上下していましたが、今年6月から80超えで安定し、現在82超えとなっています。ですから免疫力には少々自信があったのですが、7月に帯状疱疹になってしまいました。年金生活者にとって、健康維持は大切なお仕事、お務めのようなものですが、いろいろ努力しても歳には勝てない、ということなのかもしれません。

No.197:帯状疱疹になりました (2023年06月30日)

 痛みが一日中治まらず、夜眠れずに痛み止めを飲みました。原因は帯状疱疹だったのですが、痛み出してから1週間ほど経って首に発疹が出て初めて分かったのです。眠れないほどの痛みは数日でしたが、一日中の痛みは3週間ほど続き、その後も若干の痛みが1週間ほど続きました。

No.193:睡眠スコアその後 (2023年02月28日)

 今月、スマートウォッチの睡眠スコアが63になった日がありました。89~80が「(睡眠の質が)良い」で、79~60は「やや低い」、59~は「低い」なので、「低い」に近いスコアです。気のせいかもしれませんが、スコアが高いと体調が良いし、低いと寝不足感があります。

No.187:睡眠スコア (2022年08月31日)

 睡眠の質が「良い」の睡眠スコア80を越える日が増えました。睡眠スコアはスマートウォッチを着けて寝ることで測定します。今月前半2週間では、80を超えたのが2日、平均74.6でした。それが、後半2週間では80越えが6日あり、平均80.3と、平均で5.7ポイント上がりました。前半2週間は暑さのため昼間のウォーキングをやめており、後半2週間は、ジムマシンでの屋内昼間ウォーキングを始めています。運動量の違いが、睡眠の質の違いになった、ということだと思います。

No.183:帝国ホテル特製フレンチトースト (2022年04月30日)

 京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。

No.182:マンションの売却 (2022年03月31日)

 貸していたマンションを売却しました。入院中の長兄が自宅を売ろうとしたのですが、そのうち物事の判断ができなくなり、売るに売れない状況になりました。家が売れたのは長兄が亡くなってからです。そんなことがあって、80歳までには売却しておきたいと考えていました。

No.181:勤務先は帝国ホテル (2022年02月28日)

 事務所のボスが事務所兼自宅を売却して新しいマンションを購入しました。マンション完成まで2年弱あるので、それまでを帝国ホテル東京で過ごすと決め、昨年の12月からホテルに住んでいます。このため、私の勤務先が帝国ホテルとなり、それまで歩いていた自宅から新宿が、自宅から内幸町となりました。


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