暮し

No.081:リタイア貧乏

 「老後のぜいたく程々に リタイア貧乏が待っている」という記事(日本経済新聞電子版9月9日)に、38歳の会社員が66歳の父親から、家計が苦しいから少し援助してくれ、と頼まれたとあります。家計再生コンサルタントなる人が調べてみると、収入以上に使っている、という単純な図式でした。

 父親母親の二人暮らしで、支出が月30万円、退職後5年間はアルバイト収入のみで月10万円、年金が出るようになったら体がきついのでアルバイトをやめて年金収入のみの月20万円、という家計内容でした。このため、退職時に1900万円あった退職金などによる貯金は、5年間で1300万円ほど減って600万円ほどとなり、その後も年120万円づつ減っています。そこで息子へのSOSとなりました。

 こうなるまでにどうして対策を立てなかったのかが不思議、バカだなぁ、と他人事のように言えるのかもしれませんが、明日は我が身かもしれません。「オレオレ詐欺なんかには絶対引っかからない」と断言する人が、まんまと騙されている現実があるわけで、誰しもがどこかに愚かさを持っているのです。コンサルタントのヒヤリングによると、「いままで仕事も子育ても頑張ってきたんだから、少しくらい楽しんでもいいだろう」という”ごほうび”の誘惑に駆られ、旅行に行ったり、いい食べ物にこだわったり、友達付き合いに力を入れたり……、ということでした。

 確かに、退職して自分の時間が大幅に増えると、要するに暇ですから、楽しみを求めて旅行、食事、友人、趣味などにお金を使うようになりがちです。現役時代であれば、使おうにもそんな時間はありませんでした。また、退職とともに社会との関わりが薄くなる寂しさから、社会や人とのつながりを求めて出費を重ねる人もいるでしょう。この両親は、「友達付き合いの一環で、漬物をたくさん作って配っていた」そうです。また孫たちのために毎月3万5千円も使っており、可愛さからだけではなく、そんな寂しさから、というのもあるのかもしれません。

 収入を超える支出で暮らす人が身近にもいます。叔母は一人暮らしで、気兼ねなく世話をしてもらえる人を遠方から呼んで、新幹線代を含む交通費と数日分の日当を出しています。月に2回来てもらうこともあって、叔父の遺族年金では足りずに貯金を取り崩していました。姉さん女房で、叔父に対して威張って暮らしていたためでしょうか、世話をしてもらうのは威張れる人でないとだめなようなのです。その人は昔のご近所さん、叔母をよく理解し、我儘をしっかり受け止めてくれます。最近あまり呼ばなくなったようですが、貯金が残り少なくなってきたことがその理由の一つのようです。退職とか、伴侶との死別とかで失ったものを穴埋めしようとお金を使う、そして貯金が底をついてきて初めて対策を考える、そんな人が多いのかもしれません。だからリタイア貧乏が話題になり始めているのでしょう。

 対照的なのが、奥さんと二人暮らしの友人、とても几帳面で計画的な人です。退職とともに、貯金や年金などを確認して、生活に必要なお金を先々まで計算し、小遣いや好きな旅行に毎年いくら使えるかを割り出しています。その収支を奥さんに見せて、だから旅行に行こう、と誘います。お互いの小遣いも決めていて、小遣い専用の財布を二人とも持っているそうです。その財布に、気が付くとほとんどお金がない、というのが奥さん、友人はおそらく、いくら入っているか常に把握していることでしょう。名コンビ、リタイア貧乏とは無縁の素敵なご夫妻です。

リタイア貧乏
年1回京都まで500kmほど歩きます

 そこまでしっかりはできないまでも、将来どうなるかを大まかには捉えておく必要はありそうです。そして何よりも、「老後のぜいたく程々に」ということでしょう。幸い私の趣味はウォーキング、お金がかからないどころか、時には交通費を節約できるし、何時間も楽しめて健康に良い、とまさに良いことづくしで、リタイア貧乏には陥らないで済みそうです。歩けるかぎりはですが。

の記事

No.203:人生の転機となった学校 (2023年12月31日)

 「授業中もぼんやりしていることが多い」とか、「教科書を忘れて来る」、「えんぴつも持たずに登校する」とかを小学校の通信簿連絡欄に書かれていた私ですが、中学に入ってからは少しまともになりました。

No.198:睡眠は改善したものの・・・ (2023年07月31日)

 スマートウォッチによる睡眠の質が「良し」となる「睡眠スコア80以上」の日が続いています。記録し始めた昨年7月から、30日移動平均が75から80の間で上下していましたが、今年6月から80超えで安定し、現在82超えとなっています。ですから免疫力には少々自信があったのですが、7月に帯状疱疹になってしまいました。年金生活者にとって、健康維持は大切なお仕事、お務めのようなものですが、いろいろ努力しても歳には勝てない、ということなのかもしれません。

No.197:帯状疱疹になりました (2023年06月30日)

 痛みが一日中治まらず、夜眠れずに痛み止めを飲みました。原因は帯状疱疹だったのですが、痛み出してから1週間ほど経って首に発疹が出て初めて分かったのです。眠れないほどの痛みは数日でしたが、一日中の痛みは3週間ほど続き、その後も若干の痛みが1週間ほど続きました。

No.193:睡眠スコアその後 (2023年02月28日)

 今月、スマートウォッチの睡眠スコアが63になった日がありました。89~80が「(睡眠の質が)良い」で、79~60は「やや低い」、59~は「低い」なので、「低い」に近いスコアです。気のせいかもしれませんが、スコアが高いと体調が良いし、低いと寝不足感があります。

No.187:睡眠スコア (2022年08月31日)

 睡眠の質が「良い」の睡眠スコア80を越える日が増えました。睡眠スコアはスマートウォッチを着けて寝ることで測定します。今月前半2週間では、80を超えたのが2日、平均74.6でした。それが、後半2週間では80越えが6日あり、平均80.3と、平均で5.7ポイント上がりました。前半2週間は暑さのため昼間のウォーキングをやめており、後半2週間は、ジムマシンでの屋内昼間ウォーキングを始めています。運動量の違いが、睡眠の質の違いになった、ということだと思います。

No.183:帝国ホテル特製フレンチトースト (2022年04月30日)

 京都、横浜、シカゴ、銀座など、「おしゃれ」を連想させる地域が勤務地でした。そして今、内幸町の帝国ホテル東京となり、「高級」という響きが加わりました。おしゃれや高級とは最も縁遠い私が、そんなところで働くなんて、不思議なめぐり合わせです。最近暑くなってきて、半そでTシャツでの出勤、そんな恰好だと帝国ホテルに入れてもらえないわよ、と妻に言われながら出かけます。

No.182:マンションの売却 (2022年03月31日)

 貸していたマンションを売却しました。入院中の長兄が自宅を売ろうとしたのですが、そのうち物事の判断ができなくなり、売るに売れない状況になりました。家が売れたのは長兄が亡くなってからです。そんなことがあって、80歳までには売却しておきたいと考えていました。

No.181:勤務先は帝国ホテル (2022年02月28日)

 事務所のボスが事務所兼自宅を売却して新しいマンションを購入しました。マンション完成まで2年弱あるので、それまでを帝国ホテル東京で過ごすと決め、昨年の12月からホテルに住んでいます。このため、私の勤務先が帝国ホテルとなり、それまで歩いていた自宅から新宿が、自宅から内幸町となりました。

No.175:囲碁三昧の日々 (2021年08月31日)

 「何で(事務所に)来ないの!!」と事務所のボスに責められぎみです。事務所への往きは歩きなので、感染の危険は渋谷スクランブル交差点付近ぐらいですが、帰りは電車なので、小さいとはいえ感染リスクがあります。感染力の強いデルタ株で感染が爆発しており、どこに感染者がいるか分かりません。それに、感染したら自宅療養、という切迫した医療状況なので、避けることができるリスクは避けるべきでしょう。

No.174:月を眺めるひととき (2021年07月31日)

よく出会う80代と思われるお二人、ご夫婦に違いなく、女性は杖代わりのように男性の腕をつかんでゆっくりゆっくり歩いています。お二人に出会うのは夕食後の妻との散歩のとき、我々の10年後を想像してしまいます。どちらかを杖代わりにして散歩しているでしょうか。お二人の歩きはおそらく健康のためでしょう、敬意をもって見つめています。


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