ワカサギ釣りで連日通った渡良瀬遊水地の谷中湖が地震でどうなったか心配になり見に行った。そこには目を疑うような光景が広がっていた。
岸にはおびただしい数のハクレンの死骸が横たわり、水面にもかなりの数が浮いている。片付けに来ていた漁協の人に聞くと、時たま何匹か浮くことはあるがこれほど大量に死んだのは今まで見たことがないとのことだった。
湖岸や水面を見回すと死んだのはハクレンだけである。鯉や鮒をはじめワカサギ、モロコなどここに生息する他の魚の死骸は全く見当たらない。
webで調べるとこのような大量死はこれまで国内各地で何回か発生している。利根川水系でも昨年の夏に起き、水質などを検査したが特に異常は無く、猛暑による酸欠が原因だろうと報告されている。
谷中湖は、水草の繁茂を防ぐために毎年2月末に水門を開いて水を放流してしまい、湖底の干し上げを行う。そして梅雨の頃に再び満水になる。生息する魚たちはそれまでわずかに残る深みに集まる。そこを地震が襲った。ハクレンは臆病でわずかな物音や振動などに驚いて跳ねる。一匹が跳ねるとそれに驚いて次々と跳ね上がる。狭い水域でパニックになって暴れ回り、その結果急激な酸欠に陥ったことが考えられる。しかし、なぜハクレンだけ死んだのだろう。あまりにも大きい体のため他の魚たちに比べ酸素の消費量が多いからなのか、謎は残る。
あの地震から1ヶ月近く経ち再び訪れてみると、湖はすっかりきれいになり、何人もの釣り人が糸を垂れていた。