リタイア間近組

 
 
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もろもろの話 少し昔、そしてずっと昔の話

ライターな日々(2007年)  執筆修行の日々

Yahooセカンドライフ第11話:お年寄りのアイドル健太郎君 (02月01日) ページトップへ

健太郎君1 お年寄りのアイドル健太郎君
健太郎君の登場で一気に盛り上がる
朝の各室訪問の合間に大好きな大通りウォッチング

 特別養護老人ホーム王子光照苑のお年寄りたちのアイドルである健太郎君は子犬のときに右前足を骨折して河原に横たわっているところを動物愛護団体に保護された野良犬でした。 交通事故にあったと思われ、人にいじめられてもいたのか、車や人を極端に怖がる子犬で、 怪我の治療や食事の世話などにはかなりの根気が必要だったようです。

 世話係りだった水野さんが「餌をやるときに毎日少しずつ距離を縮めていき、 数週間経って初めて手にある餌を食べてくれるようになりました」となついたときのことを嬉しそうに話してくれました。 当時副苑長だった水野さんは現在苑長となり健太郎君を直接世話することはなくなりましたが、 今でも健太郎君の「お父さん」的存在のようです。 水野さんを捜して事務所をうろうろする健太郎君にスタッフが「お父さんは今いないよ」などと話しかけていました。 怪我の治療、人を信頼しお年寄りに可愛がってもらえる犬となるための訓練、感染病を防ぐための人を舐めないしつけ、 などを経て苑にやって来てから1年後にお年寄りたちにお披露目され、それから5年、 演芸会での健太郎君への声援ぶりからもお年寄りたちに可愛がられている様子がうかがえます。

 健太郎君の前任犬である太郎君は1996年5月に光照苑の駐車場で見つかった行倒れ犬でした。 苑の利用者のみなさんがご自分の食事を与えて世話をし元気になったとき、苑で飼ってほしいというみなさんからの要望で苑の飼い犬となりました。 4年ほどで亡くなり、そのときは苑全体がもの悲しさに包まれたそうです。 二代目はいつまでも健康でいて欲しいという願いを込めて健太郎と名づけられました。 獣医さんの指導を受けながら、手作りの食事、午前中の各部屋訪問後の屋上での遊び、午後のリラックスタイムなど、 体と心の健康維持を心がけています。

 太郎君も健太郎君も王子という下町人情に支えられて存在しているように思います。 高級住宅が多く存在する都内のある区の全特別養護老人ホームに問い合わせましたが犬を飼っているところはありませんでした。 行倒れ犬を放ってはおけない人々、お年寄りのためであれば犬を飼う手間を惜しまないスタッフ、 苑での犬の存在を暖かく見守るお年寄りの家族、犬を素直に受け入れるお年寄り、そんなところに下町人情を感じるのです。 他の老人ホームでは難しい飼い犬、それができるのは苑トップの水野さんが先頭に立って進めていることもありますが、 それを後押しする土地柄があってこそでしょう。そんな土地柄で生まれ、育ち、老いていくお年寄りたちが羨ましくもありました。

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Yahoo!セカンドライフ犬のコラム担当もしばらくお休みとなります。つたない文章をお読みいただきありがとうございました。 またどこかで書きはじめるつもりです。

Yahoo第10話:愛犬が病気になって分かったこと (01月01日) ページトップへ

背中を丸めて痛々しく歩くモモ
すっかり元気になったモモ

 病気になった愛犬の痛々しい姿を見るのは辛いものです。 どこがどのくらい痛い、などと本人は言わないので想像するしかなく、想像はふくらみ辛さもふくらみます。 会社での仕事も手につきません、といってもそれほど大そうな仕事でもないのですが。 頼りにするのは獣医さんですが、頼りにならない獣医さんもいます。

 今回、1人目の獣医さんは頼りなく、2人目の獣医さんは冷たく、3人目にやっと頼れそうな獣医さんに出会うことができました。 そういうなかで犬医療の現状を垣間見ることとなり、良い獣医さんを見つけることがいかに大切かを知ったのです。 人間医療のように恵まれた医療環境ではない犬医療では、人間医療以上に獣医さんしだいで、 獣医さん個人の人格や知識、経験に全面的に頼らざるを得ないからです。

 私が垣間見た、理解した犬医療の現状とは、総合病院や専門医、医師の人数や収入が人間医療と比べて少なすぎる、ということです。 人間医療では当たり前の総合病院や専門医は僅かで、 簡単な設備の個人経営病院で、数人の獣医さんがいるものの補助する看護婦さんはいない、 専門などなくどんな病気でも一人の獣医さんが診断、治療する、というところがほとんどではないでしょうか。 獣医さんの人数も少ないように思います。 数値だけでみると、人間医療が人口340人に1人の医師なのに対して、犬猫医療では犬猫2,500頭に1人の獣医師なのです。(注1) 我家の近所にある動物病院はいつも混んでいて1時間待ちが当たり前となっています。診療費も低いかもしれません。 10割負担である愛犬モモの診療費が3割負担である私自身の診療費とほぼ同額なのです。 診療内容が違うので比べるには無理があるし、動物病院によっても違うのでしょうが、 人間医療のお医者さんと同等の収入を獣医さんが得ているとは、失礼ながら思えません。

 このような犬医療の現状では、良い獣医さん選びが大切だと最初に述べましたが、 医療の専門知識のない飼い主がどのように良い獣医さんを見分けたらよいのでしょうか。 私の場合は、信頼できそうか否かが大きなポイントとなりました。 今回診ていただいた3人の獣医さんのうち、1人目の獣医さんの診断は椎間板ヘルニアで処方も消炎鎮痛剤と、 結果的には3人目の獣医さんとほぼ同じだったのですが、レントゲン撮影もなしに触っただけで椎間板ヘルニアと診断されても納得できず、 頼りなさだけが残ったのです。2人目の獣医さんはインターネットや雑誌で名医として取り上げられている方ですが、 ほとんど診察せずに手術以外は考えてもくれません。 外科専門医なので当然だったのかもしれませんが、冷たい印象で信頼関係が築けるような感じではありませんでした。 3人目の獣医さんが信頼できそうだと感じたのは、モモの入念な診察、確認のレントゲン撮影、 同僚との診断協議などを目の当たりにしたからです。この獣医さんは、何代かの犬を長年飼っている友人に紹介していただきました。 友人にはいろいろな病気の経験があるのでしょう、確かに良い獣医さんでした。内科療法だけでモモを元気にしてくれたのです。 そういう意味では信頼できる経験豊富なブリーダーに紹介していただくのも良いのかもしれません。

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注1:
人間医療は医師約37万人(厚生労働省発表「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」2004年12月現在)、 日本の人口約1億2千600万人(厚生労働省発表「人口動態統計の年間推計」2004年10月現在の推定人口)で、 340人に1人の医師となり、犬医療では、犬猫個人診療施設の獣医約1万人(農林水産省発表獣医師の届出状況(獣医師数)」2004年12月現在)、 犬猫の飼育数約2,500万頭( ペットフード工業会 第12回 犬猫飼育率 全国調査2005年10月)で、2,500頭に1人の獣医となります。