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自由研究 No.041-060


目次

No.060:円盤式カラーテレビ  No.059:新島の軽石  No.058:立体写真  No.057:時間  No.056:骸骨  No.055:障子貼り  No.054:第九  No.053:木守柿  No.052:SF映画  No.051:星座早見盤  No.050:カップ麺と高度計  No.049:牡蠣  No.048:コスモス  No.047:赤と白  No.046:飛行機雲  No.045:金木犀  No.044:雑木林探検  No.043:ススキ  No.042:ギネスビール  No.041:月下美人

円盤式カラーテレビ

 SF映画「宇宙戦争」(1953年版)の中で火星人の乗った空飛ぶ円盤から電子の目が伸びてきて小屋の中に隠れている人達を探すシーンがある。 この電子の目は当時アメリカで始まったばかりのCBS方式カラー放送のテレビカメラを模している。

 CBSによって開発された色順次方式のカラー放送は1950年FCCに認可され本放送が開始された。 しかし、コンパチビリティの問題で数年後には現在のNTSC方式に替わっている。 火星人がいかに高度な科学技術を持っていたかを示すために当時のハイテクの象徴であったテレビカメラを映画の中で使ったのだろう。

 この映画を見ていて学生時代に作った円盤式のカラーテレビを思い出した。 あのころ無線研究サークルの活動で秋葉原のジャンク屋で部品を買い集めてはテレビを組み立てていた。 あるとき専門誌「テレビ技術」で白黒テレビをカラー化するアダプターの記事を見た。確か下図のような回路構成であったと思う。 白黒テレビの検波段からNTSC方式の色信号を取り出し、赤、青、緑に復調し、フレーム毎に順次切り換えて白黒のブラウン管を光らせる。 それに同期させて3原色のフィルター円盤をモーターで回して見る仕掛けである。 怪しげな試作機であったが一応カラー映像が再現できた。文化祭に出展し大変な人気を博した記憶がある。 まだ白黒テレビが全盛で、カラーテレビは1インチ1万円、大卒の初任給は“3インチ”程度であった頃である。

火星人の目 空飛ぶ円盤から伸びてきた電子の目
円盤式カラーTV 白黒テレビがカラーで見れる円盤式カラーテレビの回路構成図

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新島の軽石

 先日新島に行った時、記念に軽石を拾ってきた。 庭の敷石でごしごしと削って下の面を平らにしてクリアラッカーをスプレーしたら立派な盆石に生まれ変わり、部屋のガラス棚に鎮座している。

 この石はコーガ石と呼ばれ、火山の水蒸気爆発で生まれた発泡スチロール状の軽石で、新島とイタリアのリパリ島でしか産出しないそうだ。 軟らかく彫刻し易いので島のいたるところにモアイのような石像が立っている。 水より軽いのでもっと大きいのを拾ってきて我が家の庭に自作のモアイを一体立てるのもいいかもしれない。

軽石 立派な盆石に生まれ変わった新島の軽石

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立体写真

 よく旅行先で風景の立体写真を撮る。 同じ被写体を横方向に少し移動して2枚撮影するのだがどのくらい間隔をとれば最も良く立体感を出せるかは意外とノウハウがいる。 被写体までの距離が数mの場合は左右の目の間隔と同じ6〜7cmで撮影するのが良いが遠方の風景などは立体感が出ない。 といってあまり間隔をとりすぎると立体感は出るがこぢんまりとしたジオラマを見るようで迫力が無くなる。 これまでの経験では、被写体までの距離の100〜150分の1、 例えば100m先の被写体であれば1m程度の間隔をおいて撮影するのが最もいいようである。写真は冬の戦場ヶ原、 平行法(注:URLの解説「2.立体視とは?」を参照)で見ると荒涼とした雪原をバックに白樺が浮かび上がる。

 最近は国土地理院(注:URL)でも立体視できる地図のサービスをしている。 昔登った山の稜線などを見ていると仲間と汗だくになって歩いたことや高山植物のお花畑などを鮮明に思い出す。

 立体になると臨場感があふれ、見る楽しみが何倍にも拡大する。  

注: http://wss.gsi.go.jp

立体写真 左目で左の写真を、右目で右の写真を見ると立体に見えます。立体にならない方は ここをクリックして 左右どちらかの写真の横幅が5cm〜6cm程度になるようにして試してみてください。

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時間

 また戌年になってしまった。何回目かはどうでもいいのだが最近時間が経つのが早くなったような気がする。 地球の自転が早くなるわけがないから自分の生活リズムがスローになって相対的にそう感じるのだろう。 この時間認識のズレをテーマにしたSF『竜の卵』は大変面白い。

 太陽系に近づく中性子星を探査中の宇宙船の乗組員が知的生命体と遭遇する。 この知的生命体の名はチーラ。核反応によって猛烈なスピードで生き、寿命はたった30分。 でもその一生の間に人間と同じように社会生活を営みながらさまざまな経験をして成長する。 乗組員が最初にコンタクトした時チーラは石器時代のような暮らしをしていたが僅か1ヶ月の間に人類をはるかに超えた高度な文明を築いてしまう。

 著者のロバート・L・フォワードは重力理論を専門にする科学者で、 時間認識の差からくる人間とチーラの世界観の違いをこのSFの中で書いている。 チーラが人間を永遠に変わらない絶対的な存在と見てしまうところに何か警告的なものを感じる。 急がず慌てずのんびり過ごせば自然界の変化や世の中の動きなど今まで見えなかったことが見えるようになる。 これもスローライフの楽しみ方かもしれない。

SF『竜の卵』 時間認識のズレをテーマにしたSF『竜の卵』

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骸骨

 「 門松は 冥土の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし」 (一休禅師)

 お屠蘇気分でコタツに入りあお向けに寝転んで何気なく頭や顔を指先で押しながらたどってみた。 皮膚の下にある骨の形が分かる。自分もどうやら医学全書に載っているような骸骨で出来ているようだ。 両方の目玉の周りはぽっかりと2つ穴があいている。頬骨から一段下がったところには歯が並んでいて、 耳のあたりで下顎の骨が頭蓋骨に組み合わさり、そして喉仏、鎖骨の下にあばら骨が8本、なるほど … 。

 「何をしているの?」

 「この骨は誰が拾ってくれるのかなぁ」

 「 …… 」

骸骨 骸骨から新年のご挨拶

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障子貼り

 部屋の障子が大分汚れてきたので何年ぶりかで貼り替えることにした。

 今の家は障子が少なくなったが昔の我が家には20枚近くあって部屋で遊んで穴だらけにするので両親が毎年貼り替えていた。 障子貼りは子供の頃からよく手伝わされた。庭に並べてジョウロで水をかけ、糊がゆるんだら端からそっと剥がして行く。 途中で切れずにどのくらい大きく剥がせるか弟と競争したものだ。 剥がした紙は乾かして便所で再利用した。桟はきれいに水洗いして翌日新しい紙を貼る。当時の糊は小麦粉を水に溶いて加熱して作った。 猫がその味をいつ覚えたのか皿の糊をなめに来る。「コラーッ、舌を切るぞ!」

 しわやたるみのないようピンと貼るのはなかなか難しい。あとで全体に霧を噴くのだがコーナーにどうしても皺が残ってしまう。 あまり手で押さえ付けずにそっと貼るのがコツ、簡単なようだが結構熟練がいる。 昔取った杵柄、シルバー人材センターに登録すれば次の仕事になるかもしれない。

貼替中の障子 簡単なようだが結構熟練がいる障子の貼替え。

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第九

 年末恒例のN響の第九を聞きに行った。N響は毎年異なった指揮者が指揮をするので同じ曲でもずいぶんと雰囲気が変わり、 その違いを聞くのも楽しみのひとつである。今年の指揮はN響の音楽監督ウラディーミル・アシュケナージ氏、 合唱は例年の国立音大の学生さんたちに代わって二期会合唱団に所属するプロのオペラ歌手130人の皆さんであった。

 10月はじめに早々とチケットを手配、 12月になると家内がカーステレオに第九のCDを入れっぱなしにする。どこに行くにも第九がついてまわる。 もともと音楽的才能はゼロに等しいのだが毎日こうも第九漬けにされるとメロディが頭の中に焼き付いて鼻唄にまで出るようになり、 楽器の微妙な響きやリズムの変化が結構聞き分けられるようになるから不思議なものだ。こうした2ヶ月余の準備で体調ならぬ耳調?が整い、 すっかり第九モードになってNHKホールに向かった。

 ウラディーミル・アシュケナージ氏の指揮は各楽器の個性を引き出して大変ダイナミックな演奏を展開し、 クライマックスはさすがプロの合唱団、天空に響き渡るような荘厳な歓喜の歌声で包んでくれた。最高の感動のうちに今年も終わろうとしている。

第九コンサート 最高の感動のうちに今年も終わろうとしている。

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木守柿

 枝に最後まで残っている柿を木守柿と言うと子供のころ母から聞いた。 我が家の柿の木は樹齢約50年、「会津身知らず」と呼んでいるがこれが正しい名前かどうかは疑問である。 枝が折れるほど身の程知らずに沢山実をつけるのでそう呼ばれるようになったのだろう。

 11月下旬、木枯らしが吹き出す頃に落として皮をむき2階につるす。 もう何年も続いている我が家の風物詩、柿簾だ。全部落としたつもりでも葉に隠れた柿が何個か残る。 葉がすっかり散って霜が降りるころまで寒そうにぶら下がっている。 殆どはオナガの餌食になってしまうのだが低い枝の柿はオナガも警戒心が強くつつきに来ない。

 夕刻から雨がみぞれに変わった。木にぶら下がって凍えているようだ。干し柿になった仲間はコタツの上にいる。 数日後 … 、木守柿は役目を終えた。

干し柿 我が家の風物詩、柿簾
木守柿 寒そうな木守柿
落ちた木守柿 木守柿は役目を終えた

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SF映画

 H.G.ウェルズ原作「宇宙戦争」のDVDを2枚買って来た。1枚はスピルバーグ監督による最近の作品、 もう1枚は昭和30年頃に父と町の映画館で見た「宇宙戦争」だ。あの時見た「宇宙戦争」は怖かった。 火星から巨大な物体が飛んで来て、その中から空飛ぶ円盤が現われ、怪光線で建物や人間を焼き払う。 自分が実際に火星人の襲撃を受けているような感覚になってぶるぶる震えながら見た。 しばらく夜道を一人で歩けなくなった記憶がある。

 一方、スピルバーグ監督の「宇宙戦争」は見ていて引き込まれるようだ。 恐怖におののき暴徒と化した群集とその中で逃げ惑う幼い女の子と父親の心理描写がすごい。 本当に怖いのは平常心を失い暴徒と化した群集、さすがスピルバーグである。 同じ原作者のSF映画だが監督によって演出の手法が異なり、 その映画を見る自分の視点も50年余り経ってずいぶん変ったものだと改めて思う。

DVD 同じ原作の新旧映画を見る。

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星座早見盤

 小学生の頃に星空観測で使った記憶がある。 最近のものは星が蛍光塗料で印刷されていて暗闇でも使えるよう工夫されている。 くるくる回しながら星座や天の川を見ているといろいろなことが分かる。 この時期、天の川銀河のすぐ隣(約230万光年先!)のアンドロメダ銀河はほぼ真上にあり、 地球は公転軌道上を29.8Km/secでおとめ座の方向に動いている。180度回すと昼間の星座(見ることはできないが)も出てくる。 太陽の下にはさそり座のアンタレスが輝いているはず。知識が広がるのはいくつになっても楽しい。 しかし、せっかく買った星座早見盤だが、我が家の庭では空が明るすぎて実際に使うチャンスが少なくなってしまったのは残念だ。

星座早見盤 新たに購入した星座早見盤

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カップ麺と高度計

 ある航空会社に勤務する知人と飲んだ時に機内で出すオリジナルカップ麺の話で盛り上がった。 航空機は巡航高度9,000〜11,000mでは機内を海抜2400mに相当する気圧、約560torr (mmHg) に与圧しているそうだ。 理科年表で調べた沸点と気圧の関係式
T = 100 + 0.0367(p−760) − 0.000023(p−760)2
から計算すると機内での沸点は約92℃になる。 この温度のお湯でカップ麺をつくると麺がのびたようになって美味くないはず、 聞いたらこのカップ麺は食品会社と共同で機内食用に特別に開発したものであると説明してくれた。

 市販もされていて家内がよく生協に箱で注文する。我が家で食べるこのカップ麺はお湯の温度が高いせいか機内より美味いように感じる。 先日、式根島に行く船の上で潮風にあたりながら食べたらこれがまた美味かった。 高度が関係しているとすれば、海面下140mの海底からさらに100m下を通る青函トンネルの中だったら … 。 という話の末に携帯用の高度計を買ってしまった。 アネロイド気圧計の原理で高度を計るタイプで、あらかじめ地図に記載されている現在位置の海抜高度で校正してから使う。 仕様上の分解能は20m、けっこう感度が良く我が家の2階に上がっても針が振れる。 高度計の針の指示を見ながら食べるカップ麺も一味ちがうかもしれない。

気圧計とカップ麺の写真 気圧とカップ麺の関係に迫る

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牡蠣

 「牡蠣の季節だね、…」なんて会話から急に新鮮な生牡蠣が食べたくなり、仙台から紅葉の牡鹿半島を回って気仙沼に行った。 さすがにこの時期の牡蠣は美味い。海のミルクとはよく言ったものである。牡蠣には日本酒か白ワインが合う。 時節がら河豚のヒレ酒を注文、これが実に良く牡蠣の味を引き立ててくれた。

 スコットランドの町、オーバンで食べた天然の牡蠣も絶品だった。レモン汁をかけ、タバスコを一滴落として食べる。 オーバン(OBAN)とはケルト語で「小さな入り江」、ちょうど気仙沼のような漁港で新鮮な魚介類を売る店やレストランが沢山並んでいる。 スコットランドの大西洋側は複雑に入り組んだリアス式海岸が続き、陸地は湿潤な原生林に覆われ、そこから何本もの清流が海に注いでいる。 三陸地方と良く似た自然環境である。牡蠣は川の水によって森林から海に運ばれた栄養分で育つそうだ。 美味い牡蠣が取れるのは自然が残されている証しだろう。

気仙沼の牡蠣の写真 OBANの牡蠣の写真 (上)気仙沼の牡蠣 (下)OBANの牡蠣
似た自然環境が美味しい牡蠣を育てる

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コスモス

 昨年の秋、会津地方を旅行した。途中で立ち寄った野口英世記念館は新千円札ブームで大変なにぎわいだった。 わらぶき屋根の生家が昔のまま保存されていて、その前には猪苗代湖畔までコスモス畑が広がり、さまざまな色の花が咲き乱れていた。

 しかしながら野口英世は当時このコスモスを見ていないはずだ。コスモスが日本に入ったのは明治12年、 東京美術学校(現東京芸大)のイタリア人教授ヴィンツェンツォ・ラグーサによってもたらされたそうだ。 元はメキシコ原産でピンクだったが、コロンブスがアメリカ大陸発見後ヨーロッパに渡り、切り花用として栽培されながらしだいに改良され、 現在では赤やオレンジ、黄、白などさまざまな色の花を咲かせるようになった。家内が記念にと持ち帰った種からコスモスが育ち、 花を開いた。数百年かけて世界を廻り、会津から我が家にたどりついたコスモスだ。

コスモスの写真 数百年かけて世界を廻り、会津から我が家にたどりついたコスモス

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赤と白

 ボジョレヌーボーの季節に赤とか白とか言うとワインの話かなと思うでしょうがカブの話です。 家庭菜園に赤カブと白カブを蒔いた。赤カブの種の袋には「ラディッシュ」アメリカ産、白カブの種の袋には「蕪菁」中国産、と表示されている。 アメリカと中国が畑に並んでどうなるかなと思っていたら国際競争?で見事に育って収穫となった。やはりアメリカ産はサラダ、 中国産は漬物や味噌汁に合う。

 最近ホームセンターなどで売っている野菜の種は殆どが外国産である。 外来種につく害虫が日本にいないので良く育つという話を聞いたことがあるが確かに虫もつかずに元気に育った。 農薬を使わなくて済むのはいいことであるがいずれこの野菜につく害虫も外国から来るような気がする。 以前オーストラリアの空港に着いた時に外来の害虫を駆除するため、ドアを開く前に機内で頭越しに殺虫スプレーを噴霧された記憶がある。

カブの写真 見事に育った赤と白

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飛行機雲

 夕方、西の空を南西の方角に飛ぶ飛行機をよく見かける。 アメリカ西海岸あたりを“きのう”の午前中に飛び立って関空かセントレアに向かう便のようだ。 高度10,000mあたりを飛行するため地上が日没になっても夕焼け空に飛行機雲が銀色に輝いて一直線に伸びてゆく。 前に成田からヨーロッパ便に乗った時に日本海上空で、海面に映った自分の飛行機とその後に引かれた飛行機雲の影を見たことがある。 真っ青な海の上に一直線の影がどこまでも同じスピードでついて来る。 飛行機雲は自然のキャンバスに描かれた巨大な作品を鑑賞しているようだ。

飛行機雲の写真 飛行機雲の写真 (上)夕焼け空に飛行機雲/(下)海面に映る飛行機雲の陰

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金木犀

 雨上がりの朝、前の小学校にある金木犀の木の下に黄金の絨毯が敷かれていた。 毎晩帰宅した時に甘い香りで迎えてくれた金木犀が演出したフィナーレのようだ。金木犀は江戸時代に中国の桂林から渡来した木で、 甘い香りと黄金に輝く花の咲く庭木として珍重されてきた。雌雄異株だが日本に来たのは雄株だけで受粉して実をつけてくれる相手がいない。 芳香を放つ花には匂いに誘われて集まる虫や鳥が必ずいるものだがそれもいない。 その孤独さゆえにことさら大切にしなければならない樹木かもしれない。

金木犀の写真 雨上がりの朝の黄金の絨毯

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雑木林探検

 裏の雑木林、昔は湧き水や防空壕などワクワクするような秘密の基地があった。今でも中を歩くと探険気分、様々な発見をする。 やはり王様はケヤキ、続いてシイ、コナラ、カエデ、‥‥。いたる所に生えていたタラを見かけない。タラの芽は天婦羅にすると美味い。 毎年芽を全部取られたので枯れてしまったのだろう。スギの大木もいつの間にか無くなった。晩秋になると硬い蕾をふさふさとつけ、 春先に一斉に開いて花粉を飛ばす。笹竹で作った空気鉄砲の弾にするため木登りしてこの蕾を取りポケットに入れて持ち歩いたものだ。 それで鍛えられたのか花粉症の苦しみを全く知らない。あのスギはヒノキなどと一緒に建材として伐採されてしまったようだ。

 最近シュロやアオキ、ヤツデなどの幼木をよく見かける。どこかの家の庭木の実を野鳥がついばみ、 フンと一緒に落とした未消化の種から生えたものに違いない。雑木林も人間の生活圏の拡がりと共に生態系が変わってきている。 そこに野鳥も介在しているのが興味深い。

雑木林の写真 シュロの写真 新鮮な発見が多い雑木林。庭木の実を野鳥が運んだのか、シュロなども見かける。

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ススキ

 夕日にススキの穂が銀色に輝いてまぶしい。何年か前までこの辺はセイタカアワダチソウの大群落だった。 セイタカアワダチソウは戦後日本に侵入して来た北米産の帰化植物で、またたく間に全国を制覇してしまった。ところが近年、 近くの河川敷を見ているとススキが勢力を盛り返してきた。日本古来の植物が北米産を駆逐しようとしている。 あのどぎつい黄色い花はどうも好きになれない。やはり日本の秋の風情にはススキが似合う。ススキ、頑張れ!

ススキの写真 ススキの望遠写真 Nikon Cool Pix885と8倍の双眼鏡で撮りました。

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ギネスビール

 最近アイリッシュパブが増えてギネスビールが手軽に飲めるようになった。 うれしいことにスーパーの酒類コーナーにもアイルランドから輸入されたギネスの缶ビールが並んでいる。ギネスビールは炭酸を殆ど含んでいない。 パブではビールを細いノズルからジョワーッと勢いよく空気を混ぜながらグラスに注ぐ。 カウンターに出されたグラスを見ていると細かい空気の泡が徐々に登りながらビールの上にきめ細かいクリーム状の泡を盛り上げてゆく。 この泡が特徴でいつまでも消えずに残っている。専用の超音波攪拌機を使い客の目の前でこの泡を作っている店もある。

 缶ビールの場合、この泡を作るために直径3cm位の窒素ガスを封入したプラスチックボールが缶の中に入っている。 プルタグを引くとこのボールが窒素ガスをシュルシュルと噴き出して注ぐ時ビールにガスを入れ、泡を作る仕掛けだ。 度数は約4%、ドイツの黒ビールと同じような色だが味は全く異なり、サラッとして独特の風味がある美味いビールだ。
・ギネスビール:http://www.geocities.jp/terryspub/alebeer/guinness.html
・超音波泡立パブ:http://www.hotpepper.jp

ギネスビールの写真 ギネスビール缶内の写真 炭酸をほとんど含んでいないギネスビールの缶内には窒素ガス入りボールが

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月下美人

 夕方から開きはじめ深夜に満開になり翌朝にはしぼんでしまう。一夜限りの命。その名のとおり妖艶な不思議な花である。 さらに不思議なことにこの花は日本全国ほぼ同じ日の同じ時刻に開く。我が家の株は数年前に横浜の親戚から分けしてもらった。 その株をさらに何人かの知人に分けてあげた。中に福島県在住の友人もいる。我が家の花が開き出したので電話をかけて聞くと、ちょうど今開き出したところだ、という返事。 月下美人は日本に渡来した1本の株から分かれて全国に広まったので全て同じ遺伝子を持っているそうだ。 それで何百Kmも離れていながら同時に開花するらしい。どんな時計がその遺伝子に組み込まれているのか驚きである。

月下美人の写真 日本全国ほぼ同じ日の同じ時刻に開く月下美人

2005年10月-12月 M

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